『I am a fan:それぞれのファン研究』

inainaba2007-07-19

 大学に来たら本が届いていた。辻泉さんたちのつくった本だった。本の想定は、大学ノート仕様で昔ながらのノート風の表紙に“ポップカルチャー選書「レッセーの荒野」”と書いてあり、その下に書名、そして玉川博章、名取多香子、小林義寛、岡井崇之、東園子、辻泉という著者たちの名前が書いてある。ポップな装丁である。『デジタルメディアトレーニング』もそうであるが、辻さんたちはけっこう装丁にもこだわりがあるようだ。略歴は写真入りである!!と言っても、うしろに対談が付いていて、そこに略歴が書いてあるのである。献本は辻さんと、前に合評会でご一緒した小林先生からのものだった。ありがとうございました。
 うちのゼミで、宝塚のファン文化について研究する人がいて、辻さんにこの前ご指導いただいたばかりである。今回の本はドンピシャの参考文献であり、さっそく活用させていただきたいと思っている。うちのゼミの人もファン文化に焦点をおいてはいるが、他方でいくつかの送り手のほうのインタビューが可能なようで、何らかのかたちで仕事を投げ返せたらよいのであるが。
 ネットを見ても、まだどこにもアップされていない。しかし、出版社の人がまめに製作過程をぶろぐに書いていらっしゃる。これが抜群に面白いので、いくつかリンクをはっておいた。本というのはこうやってできてゆくのだなぁ、なんてことが、わかってなかなか楽しいものがある。

目次

ファンダムの場をつくるということ――コミックマーケットのスタッフ活動
「二次創作」活動のネットワークについて
ゲーマーはエロと戯れるか?
ナチュラル”ボディを手に入れる――総合格闘技ファンの身体・コミュニケーション
女同士が見せる夢――ファンは「宝塚」をどうみているのか
関係性の楽園/地獄 ジャニーズ系アイドルをめぐるファンたちのコミュニケーション

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)「風塵社的業務日誌」

 昨夜は19時半頃KB先生の『I am a fan――それぞれのファン研究』の原稿をお渡ししに三崎町へ行く。先生の手が空く間、ご無沙汰だったゼミの後輩としばし雑談。その後、KB先生にその場で簡単にゲラのチェックをしていただき、著者校正をお願いする。
http://blog.goo.ne.jp/wind-dust/e/49b62f14f3b77f8df3e8e58a22aff3ba
 9時に越後堂製本のNさんが『それぞれのファン研究』の見本を届けに来社。越後堂製本のワゴンに乗せてもらい、Nさんと一緒に納品先の某大学生協へと向かう。その間、オヤジは見本を持って部数交渉のため取次各社をまわる。水道橋駅周辺は一方通行が多く、ナビ下手なマタンゴのせいで行ったり来たりしてしまう。なんとか到着し、『それぞれのファン研究』を搬入する。学生たちがケチらず購入してくれるといいな。
http://blog.goo.ne.jp/wind-dust/e/daa846b9c69a15a4119185372880c75a
http://blog.goo.ne.jp/wind-dust/e/7e436f3f7f7d3caf7b940b0dd13ac573
http://blog.goo.ne.jp/wind-dust/e/6b026468a9b5175c6f6c2471ffcd1ee3

 卒論指導ということからすると、やはり総論的な議論があるほうが使いやすい。しかし読み物として考えるとこのようにして、総論的なものは対談にまわした方がわかりやすいだろう。読み物と言うよりも、最近の学生向けのテキストでも想かもしれない。鈴木広先生に機会を与えていただき、初めて商業出版の一章を書かせていただいたときのことを思い出す。刷り上がったときは、本当にうれしかったし。何年かテキストにも用いた。今でも時々ひらく。反省することの方が多いが、何か力を得ることができるような気になる。