時効警察オフィシャル本

 昨日は蒸し暑く、クーラーをつけっぱなしにしてしまった。仕事に没入すると、消すのを忘れてしまう。困ったモンだ。若干体調を崩したが、一晩寝たらなおった。広島で、傘をさして片手運転しているとダメな条例ができたらしい。捕まった人も出た模様。ちょっと思ったのは、私のように親指に傘の柄を引っかけて、両手運転している場合もだめなのだろうかということである。傘を固定する装置は合法的らしいが、微妙な調整がきかないし、非常に運転しづらい。親指なら、スピードや風向き、その他に応じて上手にコントロールできる。訓練次第では、少なくとも固定よりは安全だと思うのだけれども。もちろん長距離国道を行くような場合はカッパだろう。しかし、カッパは視界の問題があるのと、もう一つは後ろから来る気配が弱くなるということはある。昨日のゼミでは、私が着ていたら、パトカーと出会うたび職務質問されるんじゃないかなどと、またもや率直発言されてしまった。悪い人はいかにもホラーというようなかっこはしてないモンだよ。『ラストサマー』じゃあるまいし。w
 昨日は会議や仕事でほとんどメシを食えなかった。ものすごく腹がへったので、夜久々に富士ランチに行き、スペシャルを食べた。馬路美味かった。福来飯店は改装中。最近ここの野菜タンメンにはまっていたので、ちょっと残念だ。美味しいんですよ。麺とつゆを馴染ませると、懐かしい独特のタンメンらしい香りがする。やはりタンメンは太麺に限ると思う。次長課長で、かなり一般的な存在になりつつあるタンメンであるので、動向は見逃せない。もちろん私のイチオシは横浜野毛の三幸苑である。ただしここの奥義は、野菜とろり煮込み系で、しゃきっと感が好きな人にはいまいちだろう。しかし、野毛のタンメンらしいスープの味わい、一品香がまだチェーン化していなかったころの味わいを引き継ぐのはここだけになってしまったような気もする。チェーン化したとは言え、そこそこ美味いんだけどね。大来は、一時非常によかったが、一品香からやっていた店主がいなくなってからは、まったく別の店になった。ここも悪くはないが、別のアジになった。野毛界隈にはまだ店がたくさんあるが、他に行く勇気はない。大阪ならばまずはずれがないけど、関東の場合はずれがあって、はずれの場合泣きそうにまずいのである。で、富士ランチに行ったついでに時効警察の本を買った。

時効警察オフィシャル本

時効警察オフィシャル本

目次

熊本課長の時効管理課・勤務評定
管轄外ですが、熊本課長の交通課&刑事課&鑑識課・勤務評定
第1章 Interview・オダギリジョー
第2章 Interview・麻生久美子
第3章 Interview・三木聡
第4章 全九話完全捜査
第5章 鑑識課・諸沢の「こんなもの見つけました」コレクション
第6章 十文字&蜂須賀刑事の小ネタ裏づけ捜査

あらあら書店さんのレビュー

オダギリ主演の深夜ドラマ「時効警察」のオフィシャル本が登場!まず冒頭は熊本課長の勤務評定から始まり、中身は第一章から第六章に分けられている。第一章はオダギリジョーのインタビュー&フォト、霧山修一朗メモリアルなど。第二章は麻生久美子インタビュー&フォトに三日月しずかメモリアル、霧山修一朗&三日月しずかメモリアルなど。第三章は三木聡インタビュー&フォトにメイキング・レポート。第四章は全九話完全捜査と題し、全九話の内容を紹介、一話紹介するごとにテレビドラマ探偵トドロキの全九話完全捜査と銘打った迷推理が入る。脚本・監督を担当された方々のインタビューも有ります。第五章は鑑識課・諸沢の「こんなもの見つけました」コレクション、第六章は十文字&蜂須賀刑事の小ネタ裏づけ捜査などとなっている。ドラマ「時効警察」ファンの人にも、まだ観たことがないという人にもオススメしたい一品。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31716886

 今まで、ケイゾクやトリックですら、メイキング本とかまでは買ったことがなかったんだけど、今回買ってみて、制作者の人たちの声などがじっくり読めて、じつによいものがあった。もちろんあくまでも一視聴者としてであって、社会学もへったくれもないんだけれども。面白がって見た人には、ツボつきまくりの内容だと思う。三木聡さんのインタビューでは、「クダラない分、全員の“共犯関係”があってこそ『時効警察』は成立した。そしてそのまま“やり逃げ”しました」などとはじまっている。ファンは萌え!でしょう。「時効事件なら、犯人側も捜査側もユルくていい、ドンパチしなくてもいい」という、「ユルさ」をマジックワードにしたような言い回しは、ちょっと実はアレルギーな部分もあるんだけど、それが不思議にイヤミじゃないのが、このドラマの特徴かもしれない。「ドラマのベースとドラムにあたるのが熊本と又来」「麻生さんなら『時効警察』のヘンな世界でも大丈夫」といったような視点が詳細に語られていて、思わず読み込んでしまう。
 一番楽しみにして読んだのは、第四章である。なんたって、各回の脚本家のインタビューがのっているのだ。そして、私が一番面白かったと思うものは、第八回でワクワクしてまずそこから読んだ。つまり、各回の迷探偵の捜査が入るってわけだし、もうDVDも出て時効なのだと言わんばかりに、ゲーデル大澤真幸や自己言及をパロったようなところのわけわかめなぶっ飛びな鍵ワード「またぞろけむたりい」の謎解きがあるかと思ったのよね。そしたらさ、健忘症が小川洋子のパロディというのは書いてあったけど、またぞろはまたぞろパスティッシュで、「「ゲーデル不完全性定理は、“自己言及のパラドックス”との関連が有名だが、これを笑いに昇華し、またぞろけむたってしまったところが第8話の真骨頂なのだよ。君ぃ」と書いてあったのには思わず笑った。またぞろけむたったとは、恐れ入谷の鬼子母神。だいたいにおいて知識ディペンデントな物言いとか、インテリジェンス・チラリズムというのは、タモリみたいに若干自虐っていれば、それはそれでみれないこともないけど、基本的には下町に帰りたくなる気持になるんだけど、この番組は、そんなにイヤミがないんだよね。なんでかって思っていたんだけど、信じちゃいないとかいうような言い方すらちょけちょけにして、またぞろけむたりぃですからね。すごすぎ。
 ケラリーノ・サンドロヴィッチさんのインタビューも、読みどころ満載である。オダギリとは二回目らしい。「昔はあんなに自発的にいろいろやる人じゃなかった」などと言いつつも、最初から好印象だったらしい。「最初に会ったとき一番好印象だったのが、僕がやっていたナゴム・レコードの通販で、空手バカボンのアナログ盤を購入していたという」。わはははは。「空手バカボンKERAさんと元・筋肉少女帯の大槻ケンジさん、内田雄一郎さんとの、伝説のインディーズ(テクノカラオケ)ユニットじゃないですか!」という解説的な聞き手のふりもイヤミなく読める。KERA「そんなことを聞いた日には『いい奴だな〜』と(笑)。ちょうど『時効警察』と『労働者M』の舞台公演が重なっていたんですが、『労働者M』はもともと、空手バカボンの曲名なんですよ。で、第8話の撮影中に、麻生さんがつかつかとディレクターズチェアの僕のところまでやって来て、後ろでオダギリくんが『いいよ』と促すと、『♪ダイヤモンドはただの石・・・』と歌いだしたんですよ。到底、空手バカボンなんか知らない麻生さんに、彼が『労働者M』を口立てで教えていたんですね」。わはははは、三日月さんが、歌う様子が目に浮かぶようだ。
 さらに、『時効警察』がモンティ・パイソンなどと関わらせて語られる。普段なら、そんなものに引っかけて語らなくてもいいじゃないかなどと思ってしまうのだが、不思議に面白く読んだ。引っかけることがいけないと思っていたのは、たしかに極端な意見だとも思った。そういう禁制のほうがずっとスノッブなのかもしれないんだろうなと思わないこともない。

 みんな、モンティ・パイソンを窓口にしてそれぞれ別の方向に広がって、でも血は受け継いでいる。たとえば八〇年代中盤に宮沢さんが竹中直人いとうせいこう中村有志シティボーイズらの面々と結成し、のちに『時効警察』のレギュラー陣(ふせえり緋田康人)も参加したギャグ・ユニット“ラジカル・ガジベリンバ・システム”なんか、モンティ・パイソンの笑いを正統的にライブでやっていました。
 まあ僕も三木さんと同じように、時効事件の顛末を描くことにはほとんど興味がないんですよね。みなさん、「小ネタ満載」ってこのドラマを評しますけど、満載どころか第8話はどこを切っても小ネタだけで成立していて、ギャグの集積みたいな世界をやらせてもらいました。小ネタという呼び方は好きじゃないけどね。警察モノの枠組み、シチュエーションを借りて、ナンセンスコメディができれば面白いなと思ったんですよね(p.121)

 このあと舞台演出と、映像の演出の違いなどにもふれている。「森の荒熊」のシーンで、「どんどん間を切って飛ばすジャンプカットの編集」とあったのは、オオと思った。映像には舞台でできないことができるということのようだ。また「字幕スーパーを入れたり、ギミックだらけな分、カメラワークなどはオーソドックスにして観やすさを心がけました」などという解説は、ためになった。もちろんオダギリの二役などについても語られている。
 この本には、オブジェや小ネタが、ぬいぐるみ系、VOW系、食べ物系、靴系・・・などと詳細に分類されている。テロップコレクションまである。さらに、関連するビデオその他が参考資料ふうについている。DVDと見比べたら、面白いだろうなぁと思う。まあ、全部録画撮っちゃったから、DVD買うかどうかはびみょうだけどね。