『現代世相風俗史年表』

 研究室にひときわ大きな本のつつみが届いた。なにかと思ったら、市川孝一さんと川浦康至さんが本を送って下さったのだった。『現代世相風俗史年表』の増補版だ。1945−2008まで起こったことが、年表形式にまとめてある。吉見俊哉の『ポスト戦後社会』がベストセラー的な売り上げとなり、社会学では戦後日本スタディーズというような固有名を冠したシリーズも売り出されている。有力な資料として、多くの人に活用されるべき本だと思う。
 市川孝一さんは、南博門下で社会心理学専攻。南博先生より形見分けで、粋な和服の裏地のような装飾を施したスーツを譲り受けた信頼熱い人物である。「社会心理史」という文言を表題に含む著作を2冊出版されている。また、『狂気の烙印』の訳者としても知られる。社会心理学会において、かなり少数派になってしまった社会学系の火を消さないよう奮闘されている。川浦康至さんは、言わずとしれたCMCの第一人者の一人で、「正しい心理学者」なわけだが、市川さんや私の恩師佐藤毅さんといっしょの研究会で、活動していた時期があり、私も知遇を得た。この二人の連携は、日本の学会にとって非常に重要なものだと、私は考えている。それはともかく本だが、紀伊国屋のサイトには次のように紹介されていた。

現代世相風俗史年表 1945-2008

現代世相風俗史年表 1945-2008

 なにが流行ったのか、なぜ流行ったのか。
世相風俗から現代を見通し、記録した画期的年表。
『現代風俗史年表』を全面改訂・増補。


敗戦を迎えた1945年に始まる日本の「現代」に生きた人びとがふれ親しんだ暮らしを社会・世相史を主にとらえなおした画期的年表。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4309225047.html

 まずみたのが索引である。何せ、最近も最近『悪魔のつくりかた』を読んだばかりで、それもあまりに面白かったので3回読み返し、マルクス主義のテキスト読み込んで、すべてを観点論的とかゆって喝破しているようなハイテンションな気分になってしまっている。んでもって、そこには、悪魔の索引という観点からすれば、ググラーなんて、ケッ、ッテナ水準のものだと読んで、そのとぉおおおりぃいいいいい、とヒザを手でパーンと叩いて立ち上がったくらいの高揚ぶりでございまして、さっそく半可通な気分で索引をチェックしてしまった。
 索引は非常に詳細なもので、固有名を網羅することに力が注がれている。関連項目検索ができないのは、難点といえば難点だろう。しかし、本文のほうが年表仕立てになっており、極端に言えば時系列にならんだインデックス本といえないこともないだろう。次の紹介は卓抜であった。

 浜松に来てから参加できなくなったが,世相風俗観察会の『現代世相風俗史年表』の増補新版が出た。2008年の記述までカバーしている。既刊部分にも細かな修正が加わっている。59ページに及ぶ渾身の索引で,レファレンス機能も有している。テレビのそばにぜひ一冊!!
http://www.akaokoichi.jp/index.php?ID=1318

 「テレビのそばに是非一冊!!」見事なコピーだと思う。このブログでも、やはり索引が採りあげられ、絶賛されていた。たしかに60ページにも及ぶ索引はすごいものがあるように思った。