- アーティスト: 相対性理論
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2009/01/07
- メディア: CD
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- 作者: G.マシューズ,B.ホワイト,小谷敏,川畑博臣
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2010/05/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容
若者たちは、新しい日本を創り出すためにもがいていたのか? 家族・労働・政治・メディア・コミュニケーション・ファッションなどに示された世代間断絶の諸相を、世界の識者が多角的に分析した、「失われた一〇年」の貴重な証言。
目次
序章 今日の日本における世代の変化(G. マシューズ B. ホワイト)
●PART1 日本における世代の境界線
第1章 一九六〇年代以降の日本社会における世代間断絶(桜井哲夫)
第2章 どうして今の日本の若者はこんなに受身なのか?(小谷敏)
第3章 地域に根を持つ国際性
― 九州の集落における世代変化(B. ホワイト)
●PART2 一〇代の若者はどのように大人社会と向き合っているのか?
第4章 日本の一〇代の社会への向き合い方
― 社会的圧力と個人の反応(P. アッカーマン)
第5章 若者のファッションと変化する美容行動(L. ミラー)
第6章 日本の大学生に世代間断絶を乗り越えさせるもの(B.J.マクヴェイ)
●PART3 若い成人はどのように社会秩序に挑んでいるのか?
第7章 キャリアを求め、仕事を探す
― 若者はいかに日本の労働世界に参入し、これに抵抗しているのか(G. マシューズ)
第8章 母親と未婚の娘たち
― 世代変化に関する一考察(リン中野・我妻もえ子)
第9章 帰国後の彼らに何が起こったのか
― 海外の大学を卒業した日本人の若者は、日本の職場で何を経験したのか(森俊太)
第10章 自己中心主義と人生の選択
― 若い教養のある母親の態度の変化(笹川あゆみ)
終章 日本の若者は新たな社会をつくるのか?(B. ホワイト G. マシューズ)
監訳者あとがき
参照文献
ご編著である『子供論を読む』に書かしていただいたときに、地方都市における市民性について見解の相違が顕在化し、ずいぶんと議論をした覚えがある。珍しく厳しいぎろんであったのだが、鳥取のご出身で、地方行政にも識見を持ち、またご編著の冒頭に『山びこ学級』と関わる栗原彬氏の論考を掲載するという編集から学ぶことも多かったし、無駄ではなかった、というよりいい勉強をさせていただいたように思う。小谷さんは、地方都市ばかりでなく、ポストモダン的な若者礼賛などにもシビアな立論を行い、問題提起をされている。山田真茂留先生が提起され、ここのところ向かい合ってきている若者文化融解論との関わりでも、コミットメントを含んだ著作と言えるだろう。
本書のなかで私が一番注目したのは、言うまでもなく第3章である。ヴァナキュラーは私が年来注目してきた概念であり、一冊だけ出した若者論の鍵概念でもある。共同研究においてどう検討が行われているか、原著にも当たって勉強すべきところであろうかと思う。私の本を献本したときに、病床の小谷さんがはがきをくださったことで、交流が始まったことを思い出す。知らない人にも献本していたことで、いろいろ悪く言われることもあったが、総じてみて収穫の方が大きかったように思う。重ねてお礼申し上げたい。