湊晶子『女性を生きる』

BEAUTIFUL(初回限定盤)(DVD付)

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 水曜日は卒業式でした。非常にシンプルな抽象化された空間で式は行われます。賑々しいロゴや装飾品が炸裂した空間とは全く違い、壇上には生花一つ、イス三つという按配で、凛とした空気が張り詰め、なんともプロテスタントだなぁ、と私のような者も考え、内藤莞爾さんの近江商人論などを厳かに思い出したりするのであります。大学生活の最初と最後にこういう式に出ることができるのは、一定の意味があるだろうと私は思います。
 むかし、ちょっとハズレ者の学生がいてふてくされた表情で卒論面接を済ませたあとに、副査だったウェーバー研究でも知られるS先生が最後に「卒業式には一度出てみるといいよ」とおっしゃっていたのを、式のたびに思い出します。式でのスピーチは、非常に味わい深いものが多く、ときおり他の場所で話したりします。
 そうしたスピーチや、おりに触れて書かれたエッセイなどをまとめられたのが、この本です。献本いただきました。ありがとうございました。

女性に贈る 「ひとり立ち」のための智恵
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 女性としての生き方
第2章 いきいきと生きるためのちょっとした工夫
第3章 ほんとうのひとり立ちをして生きがいを
第4章 学生時代に見つけてほしいこと
第5章 日本の女性教育
第6章 私のひとり立ちへの旅
第7章 国際人としての女性
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
湊晶子(ミナトアキコ)
1932年生まれ。東京女子大学文学部社会科学科卒業後、フルブライト奨学生としてホイートン大学大学院修了(神学修士)。NHK教育テレビ英語会話中級講師、ハーバード大学客員研究員、東京基督教大学教授、東京女子大学教授を歴任後、2002年より東京女子大学学長(10年3月まで)。東京基督教大学名誉教授。ワールド・ビジョン・ジャパン国際理事。05年第2回「新渡戸・南原賞」受賞。08年ホイートン大学より「名誉卒業生功労賞・名誉博士号」を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
http://books.rakuten.co.jp/rb/%E3%80%90%E4%BA%88%E7%B4%84%E3%80%91-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%96%B9-%E6%B9%8A%E6%99%B6%E5%AD%90-4047102350/item/6391414/

 入学試験に合格して入学を検討されている人たち、すでに手続きを済まされこれから入学される方たち、就職まわりをしている人たち、卒業された人たち、さらにはこれから入学試験を受けようとされている人たち、などにお薦めしたい本であります。私は、鉄壁のナナメ人間で、単なるお説教には全く興味がありません。感動してウルウルしている学生たちには、あの程度でだまされる人間になってはいけない、などと冷や水をかけるようなことを言ったりもします。しかし、この本の話の一つ一つは、イメージが鮮烈で学ぶところが大きいと考えます。もちろん、ナナメじゃない人には、ど真ん中であろうかと拝察いたします。任期を勤め上げられてホッとしたときこそ一番健康に注意すべきです、と申し上げたい気持ちでしたが、ホッとする間もなく国際的な仕事に従事されるようです。