土曜日にルミナスの棚と書架とすのこベッドが届いた。この組み立てがなかなかやっかいで、かなり時間がかかったが、なんとかできあがった。棚をステンレス製にしたのは、多少高くても使い心地がよいからである。本当は多段スライドの木製書架があれば一番なのだが、そういうものにお金を使う気はしない。研究で体系的に収集している以外のものは、学校図書館、市立図書館などで読めばいいし、学術的に収集したものも図書館に整理されたらそれにこしたことはない。引越をしてみてそういう気持ちはさらに強くなっている。それでも本をならべているのは、おそらくは一種の装飾品以上の意味はないかもしれないとすら思う。
と言いつつ、有隣堂に行ったら、車谷長吉の新刊が出ていたので、思わず買ってしまった。赤目を読んで以来、出る本はすべて買ってきたが、前作の灘の男というのは買わなかった。今回も図書館で読むつもりだったが、立ち読みしていて、『山月記』のことも書いてあるし、迷っていたら、たまたまあけたページに「ネオン」という一文を眼にして、ついつい買ってしまった。
- 作者: 車谷長吉
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2009/02/24
- メディア: 単行本
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内容
打算のことを、西欧では計算主義的理性と言う。その意味で「打算的人間」とは、すなわち「近代人」ということである。私は近代人と付き合っているうちに、次第に、もう人間ではいたくないな、と思うようになって来た――
もくじ
1
愛別離苦
怨憎会苦
求不得苦
五陰盛苦
2
文学の基本
石見紀行
西行
源実朝
一休
もう人間ではいたくないな
萬鐵五郎の美人画
3
ある恐怖展
阿呆者
4
ある読書体験
夏目漱石「夢十夜」
美人の小説
「史伝 隠国」あとがき
聖者の歌
湯川書房で出してもらった小説や句集
はじめての聞き書き小説
内田百間小論
嘉村礒多の業苦
中島敦「山月記」について
芥川賞と直木賞
5
政治について
モモちゃんの行方
無関心・好奇心・おしゃべり
まさかの坂を上って
なりの悪い男
ぽろり
沼津千本浜公園
コロッケ
本郷の坂道
ネオン
日本人と宗教
世捨人
電気
私の駆け出し時代
私の母
父・市郎のこと
お四国巡礼を了えて
でもしか教師
羞恥心のない男
私の好きな一句
http://www.shinshokan.co.jp/shoseki/index_shoseki.html?info-ahomono.html
ネオンサインについては、自著にもちょっと書いたことがある。いろいろ考えるところはあった。金儲けを唾棄する著者が、ときおりいかがわしいネオンの光を浴びに街に出るというくだりは、なんか鮮烈な残像を与えてくれた。