パスポートとってませんって!!

 ゲリラ豪雨でびしょ濡れになって以来あまりしていなかったのだが、秋晴れが続いているので、最近また歩いている。一時間歩くのと遠泳10分と同じ消費カロリーだというのだが、私の場合逆じゃないかという気がするくらい、歩行のほうが効果があるような気がする。10キロ~15キロあるくと、1キロくらい体重が減るカンジで、これが横浜ウォークだと、かなりのアップダウンがあって、もうちょっと減るカンジがする。丘をいくつか越えて、天王町のビジネスパークのスタバでこーしーをのみ、ンでもって西スポーツセンターでサクッと泳いで帰るのがひとつのコースになっている。
 ノーベル賞を日本人がとると、けっこう啓蒙的なよい記事がネットや新聞や週刊誌などに載るので、楽しんでいる。なんでスゴイか、みたいなところを、科学の基本から説明してある記事を読むと、意味づけ、根拠づけ、権威づけの学問とは明らかに違うサクッとした論理を感じたような気になる。そこから良質の新書本などをさがしてきて読む。とまあこのくらいまではやるのだが、そこで終わってしまう。それでも、なかなかエクサイティングな時間だ。
 坂田昌一という名前は、学部時代にいた科学論のゼミで何度もみた。自然科学の哲学者たちに注目されていた人だったなぁ、などといささかマヌケな回想に浸った。そこから出た研究者が2人受賞した。うち一方は、なかなかのイチビリかましていて、配偶者に叱られていたのは笑った。大学院入試で語学の答案を白紙で出して、教授会で問題になったなんて話は、なかなかいい話だと思う。それより私がグッと身を乗りだしたのは、この人はパスポートすらとったことのない人だということだ。そこだけは、オレと同じジャン、みたいなことなんだけど。外国から招待されることはたくさんあっても、行かないんだって。今回も配偶者がインタビューで存在感発揮していたのは、こういうことでもなきゃ外国旅行できないし、絶対行きたいから、インタビューで「漏れはいかねぇよ」とか言い出しかねない夫の首根っこグッとつかまえたんじゃねぇのかな、とすら思った。
 じゃあさ、どうやって研究論文とかしているンだろうと思った。まあ理系の人は英語で書くのがあたりまえみたいなところがあるわけだし。この人も書くんだろうけど、もう一人の人がけっこう書いている部分もあるらしい。それから、国際会議もこのもう一人の人がいって、交流とかしてくるってカンジみたいだ。そこで、ふと思った。「そうか!!この手があるじゃんかよ」と。
 社会学会も何年か先に国際学会が横浜で開かれることになっている。その辺で達者にできる人が重要になる。外国語の業績も必要だろう。でも、今さら駅前留学で噛む噛むえびばでぃとかできねぇし、みたいなことはあるが、できる奴と組めばいいわけだよな。書けて話せて、でもイマイチ君とかいたら、「共著で頑張らない」みたいな。
 まあ、ミルズは共著者がいる。さかんにテキサスに行って、史料を丹念にみて来いよ、みたいなことは言っている。もう就職したから、共同で科学研究費を申請して、資料収集外国編はもっぱら行ってもらい、あとは共同でやる。それから、英語でなんかを書くのもやってもらう。こういうのをいくつかやれば、飛行機にも乗らないですむし、神経すり減らして交流をする必要もない。
 とまあ、妄想はふくらむばかりなのだが、こういう情けないことを冗談でも言ってしまうところに自分の問題はあると思う。言い訳がましいのはわかるが、一番純粋な情熱を持ち得た時期に、精神状態がかんばしくなかったことが、主要な原因だと思う。ただ、有識者の友人や先輩は、まだ遅くないよと言う。どこかに洋行でハクをつけたくはないという気持ちがある。しかし、とどのつまりそれは行けない言い訳に過ぎないのかもしれない。