奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい』

 連休後半もあとわずか、ようやく終わるかと思うとホッとする。実は、私は昔から休日があまり好きではない。これは授業の観点からで、今年などはゼミが2週連続で休講となり萎え萎えである。働く人という観点からすると、たしかにこのあたりに休みがあることは、大事だと思う。社会人一年目の時は、身体がまだ社会人としてできていなかったから、連休が待ち遠しかった。今も、それは同じでたっぷり休養はとれた。運動もとった。横浜の国際プールはメインアリーナが開業で、メインプールを利用してみようかと思ったが、やはり深いプールのほうが泳ぎやすいだろうと思い、サブプールの利用となった。有隣堂で一冊の本を買った。

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)

  • 作者: 奥野宣之
  • 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
  • 発売日: 2008/03/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 整理法の本は、昔はかならず買うようにしていたが、あまりに数が出すぎてしまい、フォローしきれなくなったので、しばらく買わなかったんだが、「ローテク知的生産術」という文言にひかれて購入した。言っていることは、要するに、100円のどこでも売っているノートに何でもかんでも書いてゆけ、ということ。もう一つは、書いた記事の索引ファイルをパソコンでつくれ、ということ。何でもかんでも一冊に、というのは、佐藤優も著作で言っていたし、昔売っていた竹村健一の「これだけ手帳」(「これだけやでぇ」というCFも強烈だった)というのを思い出したりもした。
 こういう本を読むコツは、何でもかんでも真似するのはやめて、部分的なアイディアに学ぶにとどめるということだ。若いうちならともかく、中堅として仕事をしている場合はなかなかリスクが大きすぎる。(とは言いつつ、KJ法ソフトだとか、データーベースソフトだとか、ずいぶん無駄遣いをしたなぁと思う)。ただ部分的な知恵に学ぶところは大きいと思う。渡辺昇一の本の重要なところの欄外に○とか◎とかつけろというアイディア。清水幾太郎の洋書はまず買え、書き込め、辞書を使わず一気に読めという箴言外山滋比古積ん読の効用(読まずに背表紙を惚れ惚れながめておき、何年かして本を開くと自分の法が先を行っている部分もある)。赤摂也のAノート(テキスト通り)とBノート(組み替え)。超整理法のむだな資料の捨て方。そのまま使ったことはないが、部分的に使えるアイディアは無尽蔵だ。
 この本にも、いろいろ微調整に使えるアイディアはある。まず、ノートブック法である。新聞記者などはキャンパスノートを持っていることが多い。私も聞き取りにはそれを使う。大きい文字で余白を大きくとりメモをする。私もかなりの書き起こしができるが、新聞記者の書き起こし能力の逸話などは刺激になった。
 記事には日付やタグをつけておく。これもよくやることで、私もパソコンの文書ファイルなどは日付をつけている。ただし、年月までで、年月日はつけていなかった。これからは半角年月日にしようかと思っている。こうした微調整のアイディアをいろいろ盗める本であると思う。ファイル=記事の見出しにタグをつけるのは、実は気づかなかった。言われてみればあたりまえのことで、はてなの日記などはそうなっている。ただし、私のつけているタグはあまり意味がないことも多い。それよりもあとから検索しそうなものは、たとえば「間」などと、ヒットしやすくはしている。
 これはパソコンならではであろう。やはり何でもかんでもぶち込んでおいて、そこから自在に検索できるのが一番便利だ。カシャカシャ並べ替えていると、アイディアがわくこともないことはない。文書ファイルはインターネットディスクというジャストシステムのストレージを使っていて、その中の検索は自在にできる。まあしかし、そのわりにカシャカシャはやらない。
 ただし、私は30歳近くまでパソコン、ワープロなしで論文を書いていた。もやもやを頭で転がして、なんとか筋道が通ってきたら、それを書き付け、あとは微調整というような書き方の癖がいまだに抜けきらない。だから時系列というか、なんでも書く雑記帳のようなものが必要になっている。この本の発想とはちょっと違う。基本はパソコンで仕事をすることになっている。キャンパスノートやリーフの類は、原稿ができたら、すべて捨て去る。もしかしたらこれはもったいないかも知れない。ただし、私たちくらいの年代になると、できる仕事の量は先が見えているし、ある程度計画的に仕事をしているので、何かアイディアがわくかもというようなことはあまり考えない。
 この本で一番面白かったのは、ノート法そのものより、索引づくりのくだりだ。はてなアーカイブのようなものを一括検索できるシステムを構築するというアイディアだ。見出しをシコシコパソコンに打ち込むのは骨が折れるが、プロとして確立された方法には一定の説得力がある。もちろんそのままマネはできないだろう。私の場合、絶対続かないと思う。むしろ、パソコンでの索引づくりというアイディアをいろいろ試してみたいと思った。たとえば、これはあとで検索するかも知れない鍵語と思ったものは、すべてぶち込んでおくファイルみたいなものをつくり、それを見てゆくとアイディアがわくかもしれないし、さくいんのさくいんをつくるとかいろいろ妄想がふくらむ。・・・考えるだけでも楽しいが、まあやらないとは思う。
 授業で索引を作らせるというのも、面白いとは思う。というか、こまめにコメントペーパーを書かせて、いろいろケースを集めれば、事例集などはあっという間にできてしまうかもしれない。今年はまだ遅くないよな。と思いつつも、木曜のプリントすらまだつくっていないのであった。
 はてなのプライベートモードを作って、そちらにはすべてを書いておこうかと思ったこともある。かなりの策出力、文脈形成力があることは間違いはない。グループを作るとか、いろいろな機能もあるだろうし。一度それでゼミをやってみるということは、野村一夫さんなども試みられたようだが、いろいろむずかしい面もあるようだ。