佐久間孝正『移民大国イギリスの実験』

 横浜から東京に帰ったら、佐久間孝正先生から本が届いていました。前著は、日本を対象としたものであったわけですが、今回のご著作は本来のご専門であるイギリスの多文化社会について論じられたものです。献本したのでくださったわけですが、ほんとうに恐縮しております。

内容

具体的事例を取り上げ、多文化社会イギリスの最前線を検証する。
移民政策の大きな転換期にあるイギリスを対象に、外国人を統合するための視点や、その子どもの教育に求められることを論じる。

目次

1部 葛藤する移民(変わる街の移住者たち;統合と変容する文化;認められた新しい宗教学校)
2部 難民の新世紀(押し寄せる難民;難民からニューカマーへ)
3部 EUの深化と新しい市民権(EUのインパクト;「国民」への新しいハードル)

紀伊国屋サイトより

 EU拡大に伴い、多くの移民が流入しているイギリスは、政策の大きな転換点にある。地域や学校で起こっている具体的事例を取り上げ、多文化社会の現実を検証する。本書は、現在イギリスの最前線で起きている移民政策の変化を捉え、外国人が増加した時、隔離コミュニティを作り出さずに統合するための視点や、多様な文化的背景をもつ子どもの教育に求められることを考察する。グローバリゼーションの進展によりイギリスに起きている個々の現実の検証は、将来、日本の進む道を探る上で有益となろう。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/432629888X.html

 上手く論文が書けないとき、佐久間先生の『ウェーバーと比較社会学』を読み直します。論旨を研ぎ澄ますこと、それを骨太の概念、視点として提示すること、論旨が散逸しないように、一歩一歩視点と論旨を確認しながら丁寧に論じること、・・・などなど、難解な書物ながら、言いたいことが明確に伝わってくるわけです。そして、それがウェーバーの体系的読解と豊富なレビューによって芳醇なコクのある作品に仕上がっていることなども、常に確認されます。そして、その研究は今回の著作のような国際社会学的なご研究にも生かされています。文献や人名を並べたてるわけでもなく、ごく普通に言いたいことを言い、それが重要な結論を導き出しているというのは、書くことに迷ったときには、実によい手がかりになるのです。今回の著作も、なによりもそういう観点から読んでみたいと思っています。理由は、それが自分の鑑賞法だからです。
 夜「夢で逢えたら」なんかの回想みたいなので、清水ミチコのミドリを久しぶりにみてしまった。あの番組は、もっとも楽しみにしていたものの一つなんだが、出ていた椰子らを考えるとあたりまえな感じはする。でも、今覚えているのは、フリフリ♪@サザンとか、ユニーコーンのオープニングと、このミドリで、なぜかというと、同級生にそっくりなのがいたからだ。そして、実は、これは私の審美眼の一つの枠組みを作ったからだ。もう一人は、臭いといじめられていたクサヨという椰子で、ミドリもクサヨも自分と同類のような気がしたからだ。