ギャルソンとサンドウィッチマン

 親が大阪他に永楽製麺所の中華麺と国賓菜館のシュウマイを送るというので、ついていって中華街で食事をすることになった。楽園があいにく定休日だった。クリスマスだからやっているだろうと思ったが、しっかりしまっていた。どうしようかと思ったのだが、うんと高いところで食べてみようということになり、中華街でも有数の高級店聘珍樓へ。
 高いだけのことはある。イスは引いて座らせてくれるし、荷物おきにコート他をおくと、布をかけてくれる。トイレにも案内してくれる。食い物はとりわけてくれる。「中華ってさぁ、ポンポンポンと順番もへったくれもなく、さあ喰えってカンジで、おしぼりとかゆうと、うちはそんな洒落たモンおいてねぇよみたいに言った昔の同發みたいなのが、らしいよな」みたいな話をしていたら、「とりわけますか?」と聞いてくる。隠しマイクでもついていたのか??まあともかく、一応とってもらうことにした。
 私も親もホームレスみたいな格好だし、親が上着を脱いだら、「野毛大道芸」というでかいロゴの入ったトレーナーで、上品なギャルソンみたいな椰子(イヤフォンマイクなんかをつけていたりする)が、噴きそうになっていたのが笑えた。昔、国立にあったバーゼルというちょっぴり高級な店で、注文を気どった声でくり返すボーイさんがいて、新メニュー「ヨーグルトちゅーちゅー」を頼んだときの爆笑がよみがえる。そのボーイさんは、たじろぐことなくゆったよ。「ヨーグルトちゅーちゅーでございますね」って。
 聘珍樓のギャルソンみたいな人もすごく親切だ。うちのバカ親が、「エビチリ、味付けぴりっとしてめっちゃンマイですね」とかアホなことを言っても、「豆板醤とかつかって、仕上げておりますから」などと、心のこもったベタで受け応えしてくれたし。ワシが「巻き揚げねぇの?」と聞いても、「はぁ?」みたいに一生懸命応えてくれたし。
 頼んだのは、ウーロン茶と、牛の炒めたのと、蟹とウニのチャーハンと、エビチリと、海鮮焼きそば。牛が4700円くらい、チャーハンが4300円くらい。他の2品が2000円台という、すごい価格設定だったが、薄味でかつコクがあり、エビチリなども広東系の店であるのに十分にパンチがある。マニアックなものを神業でというよりは、どこにでもありますというようなものを神業でというか、誰が喰っても、すんげぇ、とぶっ飛ぶようなものだった。ウーロン茶は、ちゃんとした茶器などをつかって、たてるんだが、ワシがやったら、ぶっこぼしてしまった。
 イブが終わり大学に戻って仕事。休憩時間にM1を録画しておいたのを見た。時間がないので、最終まで残った3組のやつと、中田カウスのコメントと、巨人師匠の戦慄だけを堪能した。巨人師匠は漫才世界のまさかりちょーじというか、怖い顔であんじゃかんじゃゆおうとして、絶句して「ワシこういうの好きやから」みたいに言い切ってしまったりするところは、実に味わい深いものがある。
 サンドウィッチマンをみていて思い出したのは、岡山時代の同僚の先生のエッセイ。配偶者になる人とレコードを聴いていて、愛聴盤に一カ所音飛びかなんかがする箇所があって、そこでストンとおとが飛ぶと、女性がクスッと笑う。このストン→クスで、結婚してしまいますた、みたいな話だったんだが、伊達ちゃんのほうが、スッと引くとストンとするところがある。これをコントロールしているのが、ウッチャンフランチェンしているみたいなほうなのかどうなのかはわからないけど、ともかくこの「間」合いに伸縮性みたいなのがあり、ゲロゲーロだとか、ダイノジみたいなパッツンパッツンにまくし立てる感じとはまた違うものがあるんだな。詳しい人がどこを評価しているか知らないけど、奥行きのあるやりとりは、ノリノリというわけでないんだが、たしかに面白かったし、正直笑った。勝ったから言うわけじゃないよ。
 最後のネタが、エンタでコント仕立てでしたやつだし、笑点にもでているみたいだから、ちみらも四味サイボーグかよみたいなことが、ネットにあったけどさ、どっちかというと、この椰子らが印象深いのは、虎の門のほうぢゃねぇの?だから、終わった後、しんすけとマツモトがアイコンタクトして、それを上沼が看取して、ああゆう結果になったというわけではないとは思う。アイコンタクトは、むしろ「これやろ、やっぱ」みたいな感じに見えたし。ビィビィ泣かなかったのはすごいと思った。