三浦展『夢がなくても人は死なない』

 火曜日に光文社から本が届いていて三浦展氏が下流社会第三章でも出したのか?これはもうTHE 虎舞竜か、はたまた新井英一か、何章まで行くのか下流社会??などと思ってしまったのだが、開けてみたら、『合コンの社会学』だった。学生にみせたら、「おもしろそー」と大騒ぎになったが、「貸して」とか、「買って」とかいいやがって、けっこうマジギレしそうになったが、来年のゼミでまずやったら、けっこうイイかもなぁと思わないこともないのである。で、水曜日に大学に行ったら、今度は宝島から本が届いていて、???と思って開けたら、三浦展氏からの本だった。題して、「夢がなくても人は死なない」。「仕事をしないと自分が見つからない」と同じ系統の題目だが、「好きな仕事を探すより、仕事を好きになりなさい」と諄諄と問いかける本となっている。宝島のサイトにものすごい詳しい紹介があったので、メモがわりに引用させていただく。

“働く意味がわからない人”のための仕事論と幸福論



【対談】
渡邉美樹(ワタミ社長)/住谷栄之資(キッズシティージャパン社長)
三田紀房(漫画『ドラゴン桜』著者)/藤原和博(杉並区立和田中学校校長)


おじさんはスカッとし、若者は目覚める!


【本の効能】 次のようなときに読んでみてください。
夢も希望もないと思ったとき
仕事を何にするか決めかねているとき
朝起きて会社に行きたくないとき
仕事に飽きたとき
会社を辞めたいと思ったとき
もうひとふんばりしたいとき
上司や先輩の価値観がわからないとき
若い社員の価値観がわからないとき
会社が信用できないと思ったとき
親や教師が信用できないと思ったとき


+++ 目 次 +++


はじめに


本書の効能


仕事がイヤになったときのための“御教訓”カレンダー


第1章 やりがいは、仕事をきちんとやった後についてくる
下流」からの脱出?
「夢を持て!」と教える必要はない
「個性=好きなこと」ではない
お金のために働くのは悪いことではない


第2章 もっと世界に目を向ければ、やるべきことが見えてくる
対談・渡邉美樹(ワタミ株式会社社長)
親は「偽中流」、わが子は「下流社会
学生の八割が嫌々社会へ
子どもの夢と伴走したい
東大を目指す子はきちんと食べる
夢がなかったら目の前のことをやれ


第3章 若いときに頑張っておけば、あとは楽です
ひきこもり気味だった学生時代
面接で何を話せばいいかわからなかった
何でもやった編集時代
七十歳を過ぎてからが一番頭がいい


第4章 五感を鍛えることが仕事の基本
対談・住谷栄之資 (株式会社キッズシティージャパン社長)
人間は生のぶつかり合いを通して育つ
すべての仕事の基礎は体力だ
無人島で暮らしたことも……
今のままではグローバルな人材は育たない
自分のやりたいことをできるだけ忠実にやろう
日本人は勉強しすぎ?


第5章 自分らしさは、働き続けた結果得られる
自分らしさを追求すると下流になるのか?
自己実現」という言葉の深い意味
頼まれなくてもしてしまうことを、得意なことでアウトプットする


第6章 はじめは個性はいらない。働く型を身につけろ!
対談・三田紀房(漫画家・『ドラゴン桜』作者)
型を示さないとトラブルが起きる
給料が減っても残業を減らしたい今の若者たち
はじめは個性なんかいらない
「好き=成功」なら苦労しない
個性探しでクタクタになっている若者たち


第7章 就職するな、就社しろ!
雑務が人を育てる!
会社の人材配置は案外正しい
嫌いな人の存在が自分を鍛える
若い人は周りに遠慮しちゃダメ!


第8章 仕事に役立つ「ナナメの関係」
対談・藤原和博(杉並区立和田中学校校長)
授業時間を増やさなくても、学力は上がる
ナナメの関係が面白い
毅然としているプロは気持ちいい


第9章 仕事が自分を必要としてくれることの幸せ
働く身体を作ることが大事!
仕事が自分を呼んでいる状態
大人は子どもにサービスしなくてよい
夢を失ったときどう生きるかが重要
自分らしさは定年後にとっておけ
http://tkj.jp/book/book_01621801.html

 傑作なのは、ご教訓カレンダーで、いかにも宝島っぽいわけだけけれども、わりに打ちの学生がみても、お!と思うんじゃないかと思う。読みやすい。すぐ読める。そして、読みながら考えたことは、多くの学生はもしかするとこういうことを言ってもらいたいのかなぁということ。個性に疲れ、感情をリバースし、ボダに大騒ぎし、まったりもへったくれもない人は、存外説教と教訓を渇望しているかもしれない。そう思った。
 それは、私が、無駄に努力することができた世代の人間だからかもしれないんだけどね。考えてみると自分もこうやって危機を乗り越えてきた。中学のときに、数学のテストで0点をとったときは、参考書をノートをとりながら読んだ。高校の時も、同じような方法で危機を乗り越えた。大学に進学してからも、何度かやばいことはあったが、そのたびに古典と言われるような厚い本をノートを丁寧にとりながら読んだ。勤めてからもそうだ。そのことで成果が出てくることを経験してきた。1年以上たって効果が出てきたこともある。だから少しやってはへこみ・・・という賽の河原ごっこは、正直イライラすることもある。ただ比較して違うと思うのは、小中学校時代もうちょっといい加減だったような気もする。大学に入る前に疲れ切っちゃっている。だから、推薦入試とかは大繁盛だ。三浦氏の今度の本は、というか今までの本もそうだったのかもしれないが、物わかりの悪いおやぢ面はしているものの、話し合ってみようみたいなことはあるんだろうな、と思った。
 学生たちの雑談に耳を傾ける。「食べ物が好きだから、食べ物の会社で働きたい」などと話している。こういう話を聞くと、とても好ましく思われる。そして一人一人は、みんなこういう好ましい面を例外なくもっていると言っても過言ではない。若者に語ることはまあ、「ロード」のように謡い続けていただくとして、「下流企業」シリーズのほうもよろしくお願いしたいように思った。「踊らされて回収される下流企業」みたいなやつ。って、大塚英志のパクリになっちまうかな。w