大学の山積みになった郵便ボックスを見たら、三浦展氏の新著が届いていた。ありがとうございました。インパクトのある題名で、内容はシュタッとわかる。なぜか宝島社の刷り物がついていて、「取材などはこちらに」と書いてあった。挑発的な文言からすると、こういう配慮も必要なのかと思った。なんで、「下流」というコピーを用いないで、「格差」にしたのだろうか?まあ考えてみると、「下流の遺伝」というのは、文法的におかしいのかもしれないけどな。とにもかくにも「下流」のスマッシュヒットから、さまざまなヒューマンコメディを軽妙なコピーと、使い勝手のいいデータで分析する著作の量産体制に入っていて、不退転で行く道行くことは、売れた以上は一つのオトシマエだと思う。
格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書)
- 作者: 三浦展
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/05/19
- メディア: 新書
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ビーケーワン
料理好きなお母さんの子どもは成績がよい。お父さんの読書量と子どもの成績は比例する。こどもの成績の格差を生み出しているのは、実は「収入の格差」だけではなく「生活の質の格差」なのです。衝撃の「格差再生産」レポート。
http://www.bk1.co.jp/product/2788712紀伊国屋
大ベストセラー『下流社会』の著者によるタブーの最新調査。
すべての親と教育関係者が震撼する!
衝撃の「格差再生産」最新レポート。
◆料理好きなお母さんの子どもは成績がよい
◆お父さんの読書量と子どもの成績は比例する
◆成績「下」の子ほど親も子も肥満ぎみ
◆夫婦間の満足度と子どもの成績は比例する
【目次】
はじめに
第1章 子どもの成績は親の経済力に比例する
第2章 母親が子どもの成績を左右する
第3章 食生活が成績の上下を分ける
第4章 頭のよい子はどんな子か?
第5章 「生活の質」の格差が階層の固定化を生む
第6章 子どもを中学受験させる親、させない親
第7章 母親たちの満足と不安
参考 母親の4タイプと子どもの成績
おわりに
あとがき
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4796658343.html
目次を見て、「母親」「父親」「お母さん」「お父さん」ということばを見つけて、ちょっと驚いた。これは三浦氏の意図なのだろうか。それとも出版社の意向なのか。旧知として、非常に意外だったのである。前にもいろいろ書いたが、あり得べき誤解を防ぐために、旧知の者として言えることは言っておきたい。三浦氏の両親は教員で、お母さんもフルタイムで働いていた。学生時代から部屋は小ぎれいに片付いていて、煮物や焼き物など、手間のかかる料理もこまめにこなして、しっかり生活していた。両親のような仕事や家事のあり方が理想で、自分も共働きの家庭をつくりたいと言っていた。今どのような家庭生活なのかは知らないが、朝、自転車にお子さんを乗せ、吉祥寺の街を保育園に急ぐ姿を何度か目撃した。まあ、そんなことはあたりまえだという人は多いだろうし、だからこそそういうことをことさらにアピールしたりはしていないのだろうと思うが、私のようなティピカル下流生活な人間からすると、驚愕すべきことである。
下流社会論とは、「自分」追求の倫理が、公共性、社会性を帰結しないという現状に対して、消費の倫理の提示によって一石を投じたものだと思う。そして、「再生産」の問題に至ることは、理の当然かもしれない。概念や調査の問題で、教壇に立つ社会学者はいろいろ言うことはあるだろう。実際耳にすることもある。精査のための起点を示しているように思うし、またいくつかの社会学書は、明確に言及しているかどうかはともかくとして、それなりにスキームなどをひろっているところはあると思う。