豊崎由美『どれだけ読めば、気がすむの』ほか

 日長原稿書きで残すところあと二章ばかりで、ホントのホントの感性になるわけですが、ここで一気にやらないのがプロというものでしょう。wで、うだうだ本屋を冷やかしていたら、文芸書2冊。一冊は、ご存じメッタ斬りの豊崎さん。「はじめて本屋を意識した書き手」みたいなことが書いてあったが、「はじめて2ちゃんを意識して書く人」のまちがいぢゃね?みたいに思った。「現場でやる」ということで、「連載の仕事を辞めねぇんだ」みたいな紹介もなかなか興味深かった。そうだったのか。

どれだけ読めば、気がすむの?

どれだけ読めば、気がすむの?

目次:

1 二〇〇〇〜二〇〇二年の本(インドの混沌が大鍋の中でグツグツと煮えたぎってるような
思わず講談調になってしまうほど面白い物語
「こんなヤツいないよお」と笑っているうちに… ほか)
2 二〇〇三〜二〇〇四年の本(騙りの魅力たっぷりの中国の話芸に圧倒されまくる
十九世紀末に西洋で生まれた“本格小説”と日本の“私小説”との幸福な合体
タテヨコナナメに活字を追って、『紙葉の家』の迷宮に酔う ほか)
3 本とそのまわりで(小さな場所で大騒ぎ―綿矢りさ金原ひとみ芥川賞ダブル受賞をめぐって
見逃されてきた新人、池上永一津原泰水を推す
悲況のなかの好況?非英米文学のステキな収穫 ほか)

MARCデータベースより

読みも読んだり、341冊。膨大な読書量に裏打ちされた批評眼と、歯に衣を着せぬ物言いが痛快至極! 2000年から2004年の5年間、一度に複数冊を紹介した原稿をまとめる。トヨザキ社長の「闘う書評」集、第2弾。
http://books.livedoor.com/item_detail&isbn=4757213581&search_index=1.html

 なまじメッタ斬りの文体があって、連載の仕事があってというと、さすがの豊崎しゃちょーもスタイルを意識せざるを得ないだろうし、とりあえず逃げてねぇか?と2ちゃんでツッコミ入れてみたい気分だけど、いわゆる2ちゃんでいうところの「喰い付きどころいっぱい」なのであって、したり顔でなんか言ったら、入れ食いだねみたいにいわれそうぢゃないか。だいたい題名からして、吉行和子のエッセイ集を思い出すし、「どこまで読めば、」の「、」もたちが悪いよね。ナンクリから、掛札悠子まで思い出しちゃうし。まあともかくすごい読みっぷりだ。読むのが遅い私には考えられないよ。詳細な索引がついているから、ブックガイドにはいいけど、ますます勉強時間がすくなくなる悪寒である。ぺらぺらと福田和也のガイドブックと同じようにごろごろしながらひろいよみするにはすごく(・∀・)イイ!!。ザッピング読書には一番のいっさつではないだろうか。

“ことば”の仕事

“ことば”の仕事



目次:
小熊英二―“引用”と“対話”のインプロヴィゼーション
山形浩生―“自由”であることの“価値”はいくらだろう
佐々木敦―“インディペンデント”かつ“マイペース”であるために
小林弘人―ベンチャーで“出版”するための条件
水越伸―メディアの“生態系”を“環”でつなぐ
斎藤かぐみ―ネット上の“翻訳新聞”で伝えたいこと
豊崎由美―“ブックレビュー”から愛をこめて
恩田陸―偉大なる“エンタテインメント”のオマージュ
堀江敏幸―“所属不明”であるために、移動しつづける


MARCデータベースより
誰もが情報を発信できるいま、「言葉をあつかう仕事」のなかでは何が起きているのか。そして何ができるのか。最前線の批評家、研究者、出版人へのインタビューから探る、言葉の方法論の現在。
http://books.livedoor.com/item_detail&isbn=4562040009&search_index=3.html

 でもう一冊だけど、これは前に買ったかもしれないけど、豊崎論が書いてあったから、買っちゃった。扉をめくると怒アップの写真で、まずびびるわけだけど、内容は着実なもので、かつ文化の新しい動向が丁寧に紹介されていて、興味深い。エッジたてて、どんなもんだいという一刀両断じゃないところが、とても和みますけど、もしかすると書き手はそれなりにもがいているのかもしれないとも思う。