大家(たいか)

 今日(8日木曜日)は入試でしたー。実は私は入試の日は好きなのです。昔からミスばかりしてきたけど、それでもやはり、人間が一生のうち一番一生懸命になることの一つなわけだし、見ていても心地よい緊張感があります。落ちる人はいるわけだけど、時の運と思ってしまうのは、ヤマかけたら大当たりで奇跡的に合格した経験を持っているからかもしれません。神経症のころは、一日監督をすると立ち直れないくらいくたくたになりました。今は、そうでもありません。身体を鍛えているということもあるけど、やはり楽しく監督をしているからだろうと思います。
 楽しくというと語弊があるかもしれません。別にはくいねぇちゃんがいねぇかみたいなことじゃないのですよ。一人一人の緊張の度合いや、健康状態、いろいろな感情などをきっちりつかむようにして監督をしていると飽きないのっです。質問したそうにしている人に視線を向けたら、手を挙げてくれたりするとなかなかの快感であります。授業はどうなのよと言われそうですが、そちらは甘やかさず、激辛に対処することこそサービスで、まあ10年後に感謝されればいいんじゃないかっつーことになるでしょうか。w入試と言えばメシですが、本日は学食がつくったお弁当みたいなので、ンまかったです。天ぷらとほっけと煮物とおひたしvsキジ焼きとシュウマイと煮物とおひたし。学生アルバイトの人たちはサンドイッチでした。よく見るとかなりンまそうでした。今はもう売らなくなったポンパドールの贅沢サンドみたいなの。あれもンまかったよな。三角サンドなのに500円近くしたけど。

つっこみ力 (ちくま新書 645)

つっこみ力 (ちくま新書 645)

 そんなわけでけっこう労働したので、今日は久しぶりに気ままに本でも読もうかと本屋に向かいました。原稿書いていると、好きなものは読めないのですね。書店でとりあえず、マッツァリーノの新刊を立ち読み。「謎の戯作者」がツッコミの本を書いたとなるとさ、やっぱりこの戯作者、推薦者とは別に、私が最初から目をつけていたあの人かもしれない、遂にカムアウトかぁ??などと思ったのです。メイルしたらスルーされたし。しかし、30代とあったので、違うんでしょうね。それから、『サブカルチャー神話解体』の増補版。これはゼミテキストにしてもイイかなと思ったのですが、理論的にも、事例的にもかなりむずかしく、無理かなぁと思いはじめました。上野千鶴子の解説だけしか読んでないけど、噂通り面白かったです。大澤真幸(=見田宗介と同じで継承者なしの一代限り、継承者はみんなパロディーみたいな珍妙なのばっかり)と宮台真司(=ごろごろ継承者がいる)の比較はなかなかに面白かったが、じゃあ上野千鶴子はどうよ?他の継承者はパロディみたいなのしかいないということなのか、ごろごろいる連中はみんな自分の継承者に過ぎないというのか、などと考えてみるのもなかなかに興味深いが、やっぱりミヤダイクンまだ大家になっちゃダメだよってことじゃねぇかなあ、などと思ったりもした。でまあ、ちゃんと読んだのは、ポンちゃんの新刊です。 ポンちゃんは、大家なのだろうかね?などと思い、大家って、daisenseiほどヒリヒリしたかんじではなく、ちょっとマイブームで使ってみたい言葉になっているかもしれないなどと思いつつ、手にとった。帯がさすが幻冬舎と言うべきか、きゃっちぃである。「いつか死ぬのは知っていた。けれど、死ぬまでは生きているのだ。ささやかな日々の積み重ねが、こすり合わされて灯をともし、その人の生涯を照らす。そして、照り返しで死を確認した時、満ち足りた気持で、生に飽きることが出来る。私は、死を思いながら、死ぬまで、生きて行く。今わの際に、御馳走さま、とひと言、呟くために――」。おいおいおいおい、演歌の花道か?来宮良子呼んでこいやゴルァアアと思ったら、その上にですな、「大人になりそこねた男と女は、名作に導かれて、世にも真摯な三文小説を織り上げる」。三文小説と言われようと、パロディと言われようと、この厳しさは鬼ツボ、鬼はあとだ。やっぱりポンちゃんはいつみてもかっこいいよな。
無銭優雅

無銭優雅

 「・・・」をここまでかっこよく言える椰子はいねぇだろうなぁなどと思いつつ、扉を開けた。歴史に残るかもしれない、書き出し。「みーみーと言って体をすり寄せてくるのは猫ではないのである」。ここには宇宙があるっつーことだろ。でもって、言葉の暴虐の限りをつくして、三文芝居っぷりを描いて見せて、最後の2行どこかで読んだような語句をならべて、宇宙は閉じられる。おまいは田村隆一かッツーカンジもしないことはないが、実は私はと言えば、旧知のオンナノコとクラス会で再開したようなウェットな気持ちがしてしまったというあんぽんたんぶりだったのであった。みーみーっていう鳴き声の他にいろいろ鳴き声とかあったけど、最初のが詠美で、あとのが照れだったら、大笑いだけどな。