三浦展『いまどきの女性のココロと生活』

 明日から出張だというのに今日は会議。しかも、七時過ぎまでかかった。まあそれでも前任校の10時当たり前に比べればだいぶよいわけだけれども。重要な議題だから、会議中に採点をするわけにも行かない。というか、ある意味個人情報的に問題かもしれないと思った。学生のところに「学生課」と名乗って電話番号を聞き出す電話がかかっているらしい。学生課に問い合わせたら、そんなことは絶対しないとのこと。スパムでは「学生課」などがあったが、電話であるとはなんともにんとも。しかし、スパム多いよなぁ。で、散らかっている棚をみたら、三浦展氏から本が送られていた。読売広告社との共著のかたち。

紹介:

 ベストセラーとなった『下流社会』は、綿密なデータで社会の格差を浮き彫りにし話題となっているが、その中でも著者が特に注目しているのが「20代後半〜30代前半」の女性たちである。「負け犬」になるかならなかいかの分かれ目と言われるこの世代だが、著者の調査によると、上流と下流の差が顕著に現われる典型的な世代でもあるのだ。たとえば「どこで服を買うか」「どんな仕事感を持っているか」などの調査結果が、勝ち組と負け組とでくっきりと差が出ているのである。本書はその調査を踏まえ、20代後半から30代前半の女性の現状をデータを元に描き出し、さらに「どうしたらいいのか」の指針までを与える一冊。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31743167

 2005年5月に一次調査、6月に二次調査を行った結果をまとめている。第一次調査も第二次調査もウエブ調査で、一次調査は1都3県(23区、都下、横浜・川崎、それ以外の神奈川、千葉、埼玉の六地区)の18〜37歳の女性2000人を対象に行った。年齢的には、4歳刻みに500人ずつとなっている。二次調査は600人対象で、年齢4歳刻みに150人を調査している。などというととっつきにくい本のようにも思えるかもしれないが、非常に読みやすい本である。まず最初にフローチャートがあり、それであなたは「○○系」みたいなことを確かめる。きちんとお嬢さん系、オンナ追求系、インテリ自己実現系、平凡安定系、人生エンジョイ系、脱力マイペース系、堅実コツコツ系。あなたのタイプは??みたいなことから始まって、ふうんと一応納得したあと、仕事や結婚のはなしに進む。ファスト風土論、下流社会論で展開してきた消費の倫理学がここでもキチッと論にけじめをつけていて、その上でタイプ別に分析が述べられてゆく。言ってみれば、下流社会論バージョンの「これが答だ」かな。
 イメージ・マーケティングの旗手であった著者ならではの、言葉のくくりや分類を用いて、「象徴的分析」とも言えるようなかたちで、わかりやすく、しかし、「正社員?派遣?未婚?既婚?・・・27歳までに勝負が(かなり)決まる!?あなたはどちら?あなたの娘は大丈夫?」と挑発的に問いかける。「仕事をしないと自分はみつからない」という著者は、それを刻苦勉励のロジックではなく、ロハスな消費倫理の問題として説いてきた。「下流社会」論は、さまざまな各論的展開をみせているといえよう。
 また一つだけ思い出を語りたい。前に話した話かもしれない。三浦氏のご両親は教育者で、二人ともフルタイムで働いていらっしゃった。将来の配偶者は働いている人がいいと言うのを何度も聞いた。部屋は片付いていて、夕食時などに部屋を訪ねると、手のかかる煮物などが食卓にならんでいて、ご飯を炊いて、味噌汁をつくり、食べていた。吉祥寺の街では、子どもを保育園に自転車で送るすがたもよく見かけた。そういったことを念頭において読んでみる本ではないかと思われる。