田中浩『ホッブス』

 献本のお礼状とともに本をいただいた。著者による政治経済の参考書で私は受験勉強をしたことなどを思い、恐縮した。70歳を過ぎても、80歳になろうとしても、研究意欲は衰えを見せない。「大学紛争の時が一番筆が進んだ」などと、ものすごいことをおっしゃっていたのを思い出した。希有なことであると思うし、心身の健康の大事さを改めて痛感する。ホッブス研究55年。それだけでも意味があるだろう。同じシリーズからは、ロックがでていて、ホッブスは?と思っていた人も多いと思うのだが、満を持してでたカンジである。このシリーズは「人と」というのがミソで、かなり詳しく生涯が描かれている。かなり伝記にこだわってきたつもりだが、社会学史の講義をしていたときに、この辺の配慮を欠いていたことに気がついた。そして、全体像を簡明に描いている。これだけではなく、宗教論を論じるという研究上の意味を添付している。いろいろな意味でありがとうございました。

ホッブズ (Century Books―人と思想)

ホッブズ (Century Books―人と思想)

シリーズについて

「人と思想」は、世界の有名な大思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。
第一編の生涯編で、思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、第二編では、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。
平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。

目次と内容

1 ホッブズに先行した時代と思想(近代国家の特色―「一つの権力」「一つの法」;ホッブズ解釈の困難性・複雑性;イギリス伝統の政治思想 ほか)
2 ホッブズの生涯(大学卒業まで;修業時代;亡命時代 ほか)
3 ホッブズの思想体系(ホッブズの思想の中核―政治思想;ホッブズの「人間論」;ホッブズの「主権論」 ほか)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9980653620