成蹊大学文学部学会『公助・共助・自助のちから』

 吉祥寺の街のことを調べるということを成蹊大学セミナーで担当することになって二年目で、こちらはぼちぼちやっていたのだが、市民と密着したプロジェクトを推進するということについては、成蹊大学は非常に積極的にとりくんでいることを実感している。調査研究をしたり、いろいろなことをはじめていて、しかも教員がそれをリードしている。便乗して、調査に顔を出させてもらったりしている。飲み会のおり「カウンターカルチャーサブカルチャーではない」とおっしゃった高田先生の言葉が、残響している。「68年」をリアルに生きた世代は、ミルズの「誠実」を認めつつも、公共性のチャンネルの不在を「ラディカルなパラドックス」(クレカック)として批判した。トム・ヘイドゥンのその後の軌跡は、カリフォルニアの社会運動を生み出し、その枠組は日本の市民運動にも大きな影響を与えている。そこで、公共性の組織化(戸坂潤)に着目する視点と、私がミルズから学んだ「こぼれる部分」へのこだわりという視点、それから動員史観によってより鮮明になった「こぼれの動員」という視点などを照らしあわせ、考えてゆきたいと思っていた。そのおりもおりにいただいたのがこの本である。ミルズ研究としては、「ハーバーマスに解消されないもの」を見てゆく必要がある。それはミルズ屋の逆襲とかではなくて、こぼれたものへの固執である。こだわりを持ちながら本を読み、調査にパラサイトしてゆきたいと思う。w

公助・共助・自助のちから―武蔵野市からの発信 (成蹊大学人文叢書)

公助・共助・自助のちから―武蔵野市からの発信 (成蹊大学人文叢書)

目次

はじめに 「公共」の役割を担う市民たちの登場(高田昭彦)
第一章 武蔵野市におけるコミュニティづくり
 ―市民と行政のパートナーシップに基づくコミュニティづくり―(高田昭彦)
第二章 共に生きる福祉と生涯学習大久保洋子
第三章 自立性と循環性を備えた地域情報化を目指して
 ―地域と大学の連携モデルとしての成蹊大学メディアリテラシー実習」―(見城武秀)
第四章 環境の「再生」と「共創」―響きあう市民と行政―(飯塚邦彦)
第五章 文化を伝え地域に活かす―武蔵野市における試み―(中江桂子)
あとがき(大久保洋子

内容

 人々と行政がパートナーシップを組み共に対応していく社会を作るための地域活動−−公共の役割を担う市民たちの登場。コミュニティ・福祉と生涯学習・地域情報化・環境の再生・文化の育成