西原理恵子+母さんズ『ああ息子』

 時期的に言えば、『毎日母さん』のなんじゃかんじゃがあったころと前後するかと思うんだけど、全国のお母さんたちに「毎日母さん」体験を募集して、あつめた結果である。『日本一短い・・・』のバカ息子編である。大馬鹿5人衆だったっけ?まあともかくそういうようなことでなんじゃかんじゃあったあとで、「犬だと思えば腹も立たない」ときたもんだ。やるぢゃんかと思いつつ、立ち読みしてすませようかなぁと思ったけど、私がガキの頃やったようなことがならんでいたこともあるし、またそのはるか上を行くようなぶっ飛んだ椰子らもいることがわかり、非常に面白いものがあったので買ってしまった。いろんな章にわかれている。いくつかを紹介してみたい。ネタバレがやなら、このあと読まないで買って読んでください。

ああ息子

ああ息子

 「下の章」。いっしょにお風呂に入ったとき、湯船の淵に仁王立ち、キャンタマを横に引っぱって「モモンガ!」と絶叫するバカガキ。お母さん絶句。##ボクは「キングコブラ!」と絶叫して同じことを家庭風呂ではなく風呂屋でやりますた。/ンコするたび、ちゃんと拭けているか「お尻チェック!」と叫びながら、ひろげてみせるガキ一匹。きれいなときは(・∀・)イイ!!が、食事中残便があると困るらしい。さらに外出先でもどこでもするらしい。ファミレスとかでも。
 「命の章」。葬式の席で「ぼくらはみんな生きている♪生きているから♪」と「みんなみんな生きているんだ」を歌い出したガキ一匹。あわてて口をふさぎ途中退席。ガキ「楽しかったね☆」#葬式のバカガキはいろいろみてきたし、やってきた。遺体がつけているスキャンティ逆にしたみたいな布とかそんなものは格好のターゲット。ガキはハゲ頭のぼんさんはたまらなく可笑しかったりする。しかし、焼いたお骨を箸持って壺に入れるとき「ボクも食べる!」と騒ぎ出したガキの話はかなりワロタ。
 「穴の章」。鼻の穴や耳の穴に泥だとかなんかいろいろなものをつめるガキ。それをかき出す親。とれなくて耳鼻科に行くこともあるらしい。かと思えば五百円玉を鼻に入れるガキ。鼻くそを喰うガキ。どれも心当たりのあることばかり。
 まあこれだけではなく、サイバラの観察日誌もいろいろある。マンガの単行本にできないのでこれつくったのか?と言いたくもなるようなカンジだけど、「講演で声がわりしているやつらがかくれんぼやってた。やなもんみちゃった」とか、「父親がいまだに同じバカだ」など笑えるというか、笑えないと言うか、そういうものがたくさんある。
 男の子がみんなそんなわけでもないのだろうと思う。私の小学校にも「ちゃんとした」男の子もいて、クラス委員みたいなのをしていた。私は、対局の大馬鹿野郎だった。クラス委員と言えば、クラス委員の決選投票になったときに、今東光の選挙ポスターの真似をしてぶん殴られたりしたこともあるな。大学という場所は、こどものころ「ちゃんとした」人たちが集まったようなところなので、いまだにバカガキモードの私はいくぶんか?疎外された存在である。おりしも今は研究室が最悪に汚れている。入ってきたときの先生方の反応は様々で面白い。続編で『嗚呼娘』というのも、そのうちでるんだろうなとか考えた。でも女の子は、しっかりしていて、男の子がバカをやるとチクったりするような存在なのはなんなんだろうか?男勝りの女の子は沢山いたけど、お尻チェックと黄門みせる類のバカはいなかったよなぁ。あれはなんなんだろうか。『嗚呼ゼミ生』というのなら、面白いネタはかなりあるのだけれども、それを書くのは御法度だと思うので、封印しなくてはいけない。だって個人情報保護の時代だからね。ともあれ、バカガキが一家に1人いたら、楽しいだろうし、また切ないだろうなぁと思った。渾身の愛情がつまった本だ。