井上俊・船津衛編『自己と他者の社会学』

 大学に行ったら本が届いていた。もらえるわけもなしと思い、え?と思ってみたら、編集部からだった。教科書としてと言うことだと思うし、ゼミほかで使ってみたい本である。社会学的な社会心理学の本(たとえば佐藤毅編『社会心理学』のような本)で、テキストにできるようなものが欲しかったので、個人的には非常にありがたい。今までもそういう本はあったのだけれども、学説学派そろい踏みとか、そういう類のものが多く、具体例なども少なく、今ひとつテキストにしにくかった。このような体系書がどんどん出て欲しいものである。有斐閣のサイトより。

はまぞうにねぇぞごるぁあああ。

概要

 「私という社会現象」に迫る――自己意識や自己イメージは,社会の中で,他者とのかかわりを通して形成され,社会や他者とのかかわりの中で絶えず変化していく。「社会現象」としての「私」に着目し,社会学的アプローチの魅力を明らかにする現代的テキスト。

目次

1部 「私」を社会学する
 第1章 認識する「私」=船津 衛
 第2章 期待される私=大村英昭
 第3章 演じる私=草柳千早
 第4章 感じる私――感情の社会学=井上 俊
 第5章 物語る私=片桐雅隆
 第6章 意味を求める私=永谷 健
 第7章 私を変える=江原由美子
2部 「他者」とのかかわり
 第8章 親密なかかわり=牟田和恵
 第9章 電子メディア上のかかわり=辻 大介
 第10章 ヴァーチャルな他者とのかかわり――模倣という快楽と自己承認=長谷正人
 第11章 <視線>としての他者――ファッションをめぐって=河原和枝
 第12章 かかわりの病理――引きこもりという「自分の地獄」=土井隆義
 第13章 異質な他者とのかかわり=平川 茂
 第14章 ボランティアというかかわり=原田隆司
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00058.html

 実は『都市の社会学』のようなものを期待していた。テキストとしても懇切丁寧で、しかし1〜2人で書いたものは、内容にコクがあるものが多い。編著という形式は、人数が多ければ、多いほどアレなものが多くなる。言ってみれば、東映オールスター時代劇みたいな。しかし本書の目次を見ると、それなりの期待をしても裏切られることはなさそうだということは、読まなくてもわかるのではないかと思う。姉妹編というか、文化の社会学というのも出して欲しい。まあしかし、テキスト採用と言っても、ゼミか少人数の講義しかない。うちの大学はそういう意味では、教科書の売れない大学だし、逆に言えば、少人数でやっているということになる。ありがとうございました。