社会学史授業評価結果

 社会学史の授業評価結果送られてきますた。授業中の感想文に、向学心のある人たちからは「こんな講義じゃ、うちじゃ通用しない」「高校の参考書をつかっているようじゃ」「原典読み込め」と書かれ、遊び心のある人たちからは「ギャグが面白かったのは最初だけ」「すべりまくり」「批判にめげずに頑張って下さい」などと書かれ、また全般的に批判的な感想が多かったので、ある程度酷いことは予想できたが、まあほぼ予想通りでおさまったのは不幸中の幸いかもしれない。昨年との大きな違いは、昨年は授業に出席したグループの点数が高かったのだが、今年はそのグループの評価がシビアだったことだ。
 個々の点数だが、全般的に科目平均を大幅に下回っているといってよいだろう。五段階評価で1点台もある。なにかと思ったら、予習復習の平均時間。これが1.3。出た層が1.3、出なかった層が1.4。うそをつけ!と言いたいが、出た層の厳しい真情を反映した点と考えるべきだろうと思う。一応言っておけば、これは全体平均も2点を切っているのであることに注意。w 他に図抜けてわるいのは、「授業での学習に意欲的に取り組んだか」2.9と「授業内容は理解できたか」で出た層が2.9。しかし、後者は、出なかった層が2.6であった。比較的上手く行った昨年の講義を改善した結果こうなったのは、反省すべきだろう。
 昨年はホッブス、ロックと詳細にやってから、あとは端折って、サンシモン、コントと詳細に話した。今年は、成立期をすべて端折って、ジンメルウェーバー、デュルケムを詳細にした。成立期の端折り方が乱雑であり、他方ジンメル以降が力量不足だったと思う。原典を読んでないといってはばからないことをあまりベタにとられても困るんだけど、やっぱりボルケナウをかなり読み込んだ過去があり、成立期の市民社会論的な議論が一番自分なりに理解の深い部分だとは思う。ウェーバーとデュルケムの理解はむしろパーソンズの『社会的行為の構造』の理解とイコールと言ってもよい。感想文には、例解を豊富にしろ、原典を丁寧に説明しろ、ギャグは内容の理解の助けになるようにしろ、理解の筋道の最短距離を丁寧に説明し無駄話をするななどの改善案があった。
 あと低いのは、「説明の仕方」3.1、「受講の意義」3.1。よく出た層で、受講の意義まったくなし10人、あまりなし7人というのは、笑ってはいけないが笑った。出てない人で受講の意義が大変あったというのが4人もいたのはどういうこっちゃい。「説明の仕方」は昔からムラがある。とある先生@女子大の講義の評判で「高校の先生のように丁寧に説明してくれる。そして水準は高い」。これが基本だろうね。思うのは、学問的に高度なものにしたいという気持と、ギャグを言ってウケたいというか、昔ながらのチョンボでありたいという気持が半端に混在していることが最大の原因だろうとは思う。どっちかに絞れば、ふさわしい受講者が集まるだろう。力量のほどは一応おいておいての話である。あともう一つ、点が出るときは、なんとなく受講者との間でコミュニケーションが成立していることが多いように思う。
 他方平均に近いのは、「授業出席率」4.3。これは出席している人についてやったのでこういうことになったが、出ていない人は多いのである。回答率は45%だから。「講義要綱が役に立った」3.4、「教員の熱意」3.7、「評価方法の適切さ」3.6などである。実はこれらの項目は昨年までは点数の低い項目だった。っつーか、大東大でも、東洋大でも、本務校でも、とりわけ「熱意」は極端に低いのである。うーん、特に熱くなったつもりはないのだが。まあしかし、それも平均よりはだいぶ低いのである。平均はすべて4.0前後である。以上がまとめだが、何年かやった社会学史の講義、講義評価を通して、他校でもけっこう役に立つデータが得られたと思う。

追記:

よくみたら自由記述の記入がありますた。「もっとヲタトークをして欲しい」=少数派。「アンケートがどう生かされるかわからない}=一応こうやって生かしてます。「聞き取りにくい。話が分かりにくい」。「最近出たコーラのレモン味はおいしかったですか?私はおいしくないと思いました」。「なにか社会学史のことより、先生の雑談のことしか頭に残ってません。雑談についての試験をやったら面白いでしょう」。=皮肉でしょう。「全員が社会学史の基本について知っている、興味があるという前提で話されても困る」。「先生は、一生懸命やっているのかもしれないが、授業の半分が雑談で終わることもしばしばで、説明もおおざっぱでとぎれがちで分かりにくい。社会学部にとってとても大切なかもく(ママ)なのに、できることなら別の先生が教えるか、もっと工夫してほしい」。=たぶん多くの受講者の声を代弁していると思います。半分が雑談で終わるのがしばしばではなかったと思いますが、w 気持はわかります。論点を刈り込んで整理し、少ない本質的な項目を丁寧に説明するということにでもなりましょうか。私の感想。よくもわるくも学生がダイナミックに変わっていると思う。よくもわるくも自由記述にナッチのAAを書くような人はもういない。今度こそ馬路で区切りのつけどきなのだろう。まあただ、本務校も含め、他の学校もおしなべて同じような感想だろうから、そちらは十分工夫しなくてはいけないなぁと思っている。