特色GPの一環として社会学科では、卒業生の人たちのご協力により、ライフコースの聞き取り調査を企画し、実行している。本日は最初の報告会。夏休み中に聞き取り調査をした結果をグループごとに報告する。就職、結婚、子育て、介護、そして仕事といったことを柱として、聞き取り調査をしたものを、テープおこしをし、報告にまとめている。大学一年生とは思えないくらいみんなしっかりやってきたと思う。自分の関心で端折ったり、必要以上に詳しく書いたりすることもなく、丁寧に書きおこしをしているので、どちらかというと社会的には成功者としてカテゴライズされる人々のライフコースを、安直な物語として一筋に括りとることなく、いろいろなニュアンス、陰影などが描き出せているところもあり、やってよかったと思っている。
聞き取りは、とあるゼミナールの同窓会組織にお願いして協力者を募ったわけであるけれども、同窓会にでてくる人、協力してくれる人という、いわばサンプリングにあたるものの意味あいまでを反省させるようにすべきだったかと多少反省している。ほんとうは、母校にはもう近寄りたくもないという人のほうが面白いこともあるのにと思うのは、自分の研究主題からするないものねだりなのはわかっているのだが。いろいろなライフコースに注目し、様々な軌跡を緻密に描き出すことを学ぶことは、自分のライフコースを振り返るきっかけにもなるだろうし、専門的な見地からキャリア形成について社会学的に学ぶことなども行って行くことで、「人生の地力」をつけることも可能になるのではないかと思う。うちの大学の教育は、教養教育を核としているワケだけれども、そういう地力というか土台をつくるところに、特徴があるのだと思った。