文庫化されてしまった。しかも、ちくま文庫から。デブとの対話が一番印象に残っている。とりあえず笑おうぜみたいなことからはじまっているところは、デブにおける私のスタンスと通じあうものがある。こいつが芸人でいて、歌舞伎まくっているのは、奇跡のような芸ならではと思う。大槻ケンジの解説文が欲しくて、迷っていて、携帯で写真撮ってすませようかなどとも思っていたけど、結局文庫も買ってしまった。
- 作者: ホーキング青山
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/09/07
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
紀伊国屋サイトの紹介
史上初、車イスで暴走する、身障者芸人・ホーキング青山。ついに、自分自身の下半身をお笑いネタにしてしまった。コンプレックス、性欲、差別といった、人間の心の奥のほうにあるやっかいなモノを探り出しては、爆笑の弾丸をぶち込む!養護学校での思春期、車イスでの初体験、健常者とのセックス…。でも、けっきょく、こればかりは皆おなじ!?究極の人生論。
ビートたけしについても思ったことだけど、この人の言っていることは「ブラック」なんだろうか。だとしたら、この人の芸の価値はそれによって微動だにしないと思うけど、私は「ブラック」とかゆって芸を語ることは馬鹿げていると思う。デブネタ言って、「ブラックですよね」とか理解者ヅラする椰子は、むかつくったらありゃしないからだ。
この本に共感したとか、なんだかんだにやけたことを言うつもりはない。すべてに賛成できるわけでもなく、てーげーにしとけや若僧といいたくなる部分もかなりある。でも、この椰子の口説き文句は、研究してきた理論的見地とよく響きあう。「身障とヤれる機会なんか、なかなかないよ」。ブラックイズビューティホーでも、アフリカ系アメリカ人でもない、ものの言い方がここにあると思うんだなぁ。田舎の文化、高齢者の文化、障碍者の文化、あるいはデブの文化が、もしかしたら「メイン化」するかも知れねぇぢゃんかと思ってきた私としては、そしてそのような理論的な立論の陳腐さに吐き気がして、なんて貧しいんだと嫌悪感を煮えたぎらせてきた私としては、この口説き文句はけっこう脳天に突き刺さるものがあったんである。