発掘された本

 水泳世界選手権の競泳がついに始まった。中学の頃から神経症であったわけだが、五輪水泳や世界選手権のブルーの画面を見ると、とても落ちついた気持ちになったものだ。おまけに高校時代水泳部だったから、やはりあらゆるスポーツのなかで水泳が気になると言ってもよい。県大会とかではいつもビリだったが、夏休みも毎日練習し、合宿とかもして、まずいカレーを作ったり、肝試しみたいなことをしたり、あと学校祭で水球の試合だとか、OB現役対抗戦などをを企画したりしたことやなんやかんやは今になってみるとスゴイ貴重な体験だったと思う。体も鍛えられたし、精神的にもずいぶん安定したと思う。で、世界選手権だけど、日本記録2発も今までにでているし、ファイナリストあたりまえ状態になっている。ちょーきもちええ北島康介は1分切ったし、男子400リレーは3分20秒切りで、こういう椰子らは緊張することねぇのかなぁと思った。が、決勝にのこレねぇ???エエェェェ。やっぱ自由形短距離はダメなんすかねぇ。
 それはともかくとして、掃除で書類整理をしましたところ、埋まっていた書籍などがたくさん出てきた。一番ぶっとんだのは、『性格と社会構造』の原典。学部時代に買ったものがなくなってだいぶたつ。ないと困るので、都丸書店でハードカバーで買い直したのだが、私は翻訳のほうではなく、原典のほうにメモを書き込む癖があるので、重要なメモなしにしばらくは仕事をしてきたことになる。ガースとの共著のこの本は、英語を上手く書けないガースが行った講義のノートをもとに、ミルズがガンガン書いていったらしいことは、ヴィディックらが明らかにしている。私はこの本を、初期の知識社会学とも、『社会学的想像力』とも連続的に解釈しているのであるが、今やっている本の共著者は、不連続的に捉える。その要諦を一言で言うと、プロブレマティックの力動ということではないかということになるという。そこに基本方針をおいて、とりあえず書き進めることにしたわけだが、原典を発見したことは大きい。『社会学的想像力』なんかも、大学二年の時に買って、見苦しい書き込みをしながら読んだ本のほうが、買い直して、手慣れた風に読んだ本よりも役に立つことを、最近再発見した。同じように、この本も昔のメモ満載で、役に立つと思うのだ。
 他にもいろいろ見つかったが、田島正樹ニーチェの遠近法』(青弓社)が一番特筆すべきかと思う。ケネス・バークとの比較でミルズを読んで、プロジェクトYの論文を書いている時に、この本を参照したいなぁと思っていた。バークが触れているベルグソンへの言及もあり、是非みたいと思っていたわけだが、なくなっていて、本屋にもなく、〆切は迫り、まあいいやで書き終えた。再読しながら、少し考えてみたいと思っている。
 前任校では社会人のアルバイトを二人雇っていて、週何回か来ていただいていた。事務補佐をやってもらっていた。仕事を紙にメモしておいてやってもらっていたが、仕事の項目に「発掘」というのがあったことを思いだした。「○○という本の発掘。特徴・・・」などと書いておくわけだ。アルバイトの方たちは、軽乗用車をもっていて、本の返却だとか、いろんなことを手伝っていただいた。前任校でも、予算配分がかわった今では、そんなアルバイトを雇うことはできないだろう。なんでも旅費を含めて、いくらみたいなかんじで、遠方の学会一つ行くと、予算がないとかゆう話だから。もちろんうちもそんなことは、特別な研究費がとれたりしないと無理だ。もちろん今日のはポケットマネー。非常に痛いものがあったが、しかしコストパフォーマンスはよかったと思う。感謝。