ミルズ三巻本納品

 大学に行ったら、ミルズの三巻本が配達されていました。アマゾンでは、7万円ちょいだったのが、某大型書店では10万ちょいですた。まあ、公費納入書類の関係で一般の書店を使っているわけです。一冊3万円ちょいです。本は、ギディンズの和訳より薄いです。ぼったくりといえばぼったくりですが、やはり院生のN君が買ったとなれば私も買わざるを得ません。書名などのデータを示しておきます。誰も興味ないとは思いますけど。

Stanley Aronowitz ed.
C Wright Mills (The Masters of Sociological Theory)
Price: $695.00
ISBN: 0761973710
出版社Sageの紹介ページ
http://www.sagepub.com/book.aspx?pid=10439
目次など
http://www.sagepub.com/printerfriendly.aspx?pid=10439&ptype=B
編者の論考
http://www.logosjournal.com/aronowitz.htm

 内容的には、『パルチザンレビュー』などの雑誌にミルズの生前にのった論争的な論文、書評などから、研究論文などであります。書簡・草稿集なども出ておりますので、ミルズ研究は、どんどん進展しているんだなぁとあらためて思います。丁寧に文献検索をしているN君によりますと、ミルズについての文献はたえることなくでているというのです。分野的には、歴史学政治学なども多く、冷戦と知識人、公民権運動やベトナム反戦運動などとの関わりでとりあげられることがけっこう多いようです。
 学生時代から、理論的には採るべきものがないだとか、洞察力はあるけど体系的な思考ができないだとか言われていて、論文書いて謹呈したときなども、「もう古いと思う」などと言われ、かなり萎え萎えになったのも記憶に新しいものがあります。最初の本を出した時に、アメリカ研究にシフトすることもできたのですが、神経症が悪化して、結局アメリカに行けずじまいになったのが大きかったなぁと痛感しています。やはり若いうち、健康状態のいいうちに、というか行ける時に行かないとダメだなぁとも。それでも、無手勝流でアメリカの大学図書館などに手紙を書き、資料を収集したりした頃のことを思いだし、新鮮な感動を感じています。
 本をめくっていて思うのは、嗚呼これが社会科学だなぁと新鮮なかんじがしたということです。社会学が「心理学化する社会」みたいなものや、あと哲学的な方法論議に入りこみすぎるのはどうなのだろうとも思いました。もちろんそれをやる人が必要なのはあたりまえだし、面白ければやればいいのですが、あまり気にしないで、きちんと問題と対峙することが重要なのではないかということです。