寺沢正晴『日本人の精神構造』

 本日は修士論文の締め切り日であり、卒論面接1日前であり、てんてこまいになりそうである。初の試みとして、1日先取り書きをしておきたい。前日の三件目として書いてもよいのだが、パソコンがボロスペックで多くなると重いので、日を変えた次第。で書くのは先輩の本のこと。最近この本でのアクセスが多い。先輩の勤務校で試験でもあるのだろうか?面倒見のいい人だし、話も面白いので、けっこう学生にウケているんじゃないかとおもう。書くと言っても、前に文化社会学掲示板に書いたもののコピペだ。
 ◆ 59 名前: い 投稿日: 2003/01/07(火) 02:03 先輩が本を出しました。寺沢正晴『日本人の精神構造』(晃洋書房)です。岡山時代にも鮎京正訓氏をはじめ、教養部の同僚からは多大な影響を受けたわけですけれども、私が学問人生で最も刺激的なおしゃべりを重ね、サンダー杉山のライデンドロップは実に情けなかったとか、恩師の○○先生は寅さんのタコ社長に似ているとか、某大の教員になったN氏の宴会芸は実に痛々しいとかそんな話から、プロレス、ボクシシング、お笑い、文学、ゲージツ等々、さまざまな文化領域の話まで、ボコボコにいじめられつつ、なんとか食い下がり、薫陶を受けたのがこの先輩であります。輸入した学説を振り回したりする学問や、資料の独占によってのみ成り立つ学問を軽蔑し、それを酒飲み話にするのではなく修士論文をはじめとする院生生活でも実践し、日本のアカデミズムのありようからするといささか「常識はずれ」であったために、四十すぎまでプゥだった(と言いつつ、株とかでめっちゃ金はあったみたいっすけど)んですが、寡作ながら凄い作品を目立たない場所にぼちぼちと発表してきて、こりゃあすげぇなあと思い、脚光を浴びてはいないけど、出るべきものはいずれ出てくるだろうなぁと思っていたら、アカポスにつき、ついに公刊したのがこの本です。お笑い、パンツ論争、Jリーグ、義理人情、恥、ナショナリズム、韓国観、おじさん像、死、幸福などさまざまな領域を論じています。南博門下で、すっきりしたわかりやすい文章を書き、借り物でない自分の論理をたてて論じるという信条を貫いた作品がならんでいます。ステップワークの軽いユーモアが随所に現れていて、笑えるところが、この本の第一の面白さです。最後のイチビリにはぶっとびますよ。「すべての人々に感謝を捧げたいーー『本当に有り難うございます。そして、これからもよろしくお願いいたします』。そして最後にあなたにも・・・」。なんじゃこりゃあああ、ツーかんじでしょ。ちゃらちゃらした内容のものもありますが、義理人情、恥などにこの著者の最大の独創性があると思います。もう一つオリジナリティが高い天皇制論が抜けているのはなんかなぁ〜と思ったら、これは本人も自覚していて、稿をあらためるようです。新書などで広く読まれるとよいなぁと思われる著者です。井上忠司の世間体論、作田啓一の恥論、源了圓の日本文化論などに関心のある人は、絶対面白いと思います。かつて盛んに読まれた神島二郎、見田宗介などの著作にも通じるところはあるでしょうし、根本は吉本隆明などの議論とも関連しているのでしょう。最近社会心理学がつまらない・・・と思っていた人は、おっ!!と思われるかもしれません。◆
 内容(「MARC」データベースより)3つの現代的なテーマの論考をまとめた「日本人の現在」、義理・人情など伝統的な精神に関する論説を集録した「日本人の伝統」、伝統から現在への変化を考察した「伝統から現在へ」の3部に分け、日本人の心を論じる。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)寺沢 正晴 戦後まもない頃、東京郊外に生まれる。団塊の世代一橋大学社会学部卒業。同大学院博士課程中退(社会学社会心理学専攻)。現在、神奈川大学教授(社会心理学)。成城大学講師(社会学)