ジンメルを講ずる

 ピンチヒッターで非常勤を引きうけた社会学史も気づけばもう中入り、ようやくジンメルまでこぎ着けた。なんて話し始めたら、世界史の講釈を垂れすぎた。市民革命、ウィーン体勢、100年の平和、しかしあいもかわらぬ植民地ぶんどり合戦から、第一次世界大戦へ。1848年革命。オルタナティブとしての、社会主義ファシズムケインズ主義、そして保守主義等など。そしてそこにおける学問の動向。まったく興味はつきないのであって、チョーシこいて話しすぎた。で、ようやくジンメルの話にはいる。形式社会学の話やなんかは、さすがに眠かったみたいだけど、ジンメルに入ったら、存外みんな聴いていた。あいもかわらぬ『ジンメルコレクション』を、長谷正人氏の書評と、『みんなぼっちの世界』のみんなぼっちろん、二人の孤独論などを手がかりとしながら読み込む。しかし、成蹊の学生さんはみんな半分よりうしろに座って大人しく聴いている。
 月曜日の文化社会学とはオー違いだ。昨日はもう前に強者どもが陣取り、「最近の社会理論は、猿馬鹿けもの論が出てきまして」みたいなことをゆい、「さるばかけもの」と板書したら、一番前に陣取ったマドモアゼル桃太郎が「あたしが猿だってごるぁああ」とちゃちゃを入れる。「ンなこと言ってねぇだろ、ごるぁああ」などとやり返して、丁々発止の授業進行。「うちの先生たちのなかにも『反社会学』が嫌いな人は多いはずです」と言いましたら、その椰子ら「誰誰誰」と大騒ぎ。「○○君は?」「○○ちんは?」と先生方を、くんちんよばわり。他の受講者もおもしろがってやんややんや。ここで気がついたのは、社会調査論担当長距離通勤の某氏に萌えな学生がけっこういたこと。「言っておいてね」とかヤジが飛ぶ。まあ大人しいのと、活発なのと、どっちもどっちそれぞれに面白いと思います。
 今日は3年ゼミの日。こっちも慣れてきて、だんだんため口状況に向かいつつある。少しシメないと大変なことになるだろう。六時にゼミが終わったら、卒論相談に二人が来室。なんだかんだ話しているとプールタイム。でもって帰ると、メールが来ていて、他ゼミの学生から卒論について相談の電話がかかる。他ゼミだが、非常勤の先生なので、いろいろな相談はクラスアドバイザーがするのである。ようやく一息ついたら、「考える人」が終わっていた。