先崎学『浮いたり沈んだり』

 朝一で起きて、仕事をちょこちょこっとやり、NHK将棋トーナメントをちょこっとみて、また仕事しようと思ったら、先崎学八段が解説で、佐藤康光棋聖中井広恵女流が対局していた。中井氏と言えば、あの林葉直子氏のライバルだった人で、円熟期をむかえており、けっこうタイトルとかとっている。人格的にも充実しているカンジで、「いい顔」をしていると思った。まあ、名人クラスの対局ではあるが、将棋の場合、囲碁よりもさらに男女格差があるので、勝つ期待はあまりない。しかし、先崎八段が「これはこれは」と言うので、魅入ってしまった。途中十分検討した上でのことではないにせよ、中井氏が勝っていた局面がかなり長く続いた。最後は佐藤棋聖の勝負師な手が連発され、佐藤棋聖の勝ちになったが、ひょっとするとと思った人は多いだろう。先崎八段の解説は面白い。軽妙に語ってみせるというところではなく、山場になるとかなり夢中になっちゃうところが面白いと思う。
 先崎八段は、天皇のGJを誘発した米長邦雄元名人門下。林葉氏と同門。最近では将棋の多面指しでギネスに載ったらしい。その先崎八段が『週刊文春』に連載している「浮いたり沈んだり」が文庫本になった。待ってましたとばかりに勝った。連載中ももちろん読んでいたが、まとめ読みしたいので新刊本で買った。第一回目がふるっている。連載を引きうけて、これでエッセイストかとるんるん。でも、名人戦争っていたら、そんな連載断ったはずだ。ウツだというような内容である。こういう自意識がある人はツライだろうなぁと思う。なまじ早見えするような人だともっとだろう。しかし、先崎八段のすごいのは、B1クラスでも腐っていないということではないか。今期も昇級し、バリバリのA級入りのメを残している。鬼だと思うのは、解説にもあるけど、前にA級から落ちた前後のことも書いていることだ。逝く道逝っている。羽生善治氏と故村山聖名局集みたいなのをつくった思い出が書いてある。村山の師匠の森信雄氏のことなども交えてあり、なかなかに(・∀・)イイ!!。
 昼食後この本をひとしきり読んで、大学に行き、卒論の添削、メイル書き、書評の校正、明日の授業のプリントづくりなどをしていたら、また論文が書けなかった。紀要の論文。馬路このブログの文章を貼り合わせてつくろうかと思う。気づいたら夜。CD買って帰宅して、また仕事してブログ。だるだるだ。