アエラむっく『新版社会学がわかる』について

 注文確認の作業待ちの間に大学の購買でうろうろしていたら、うちの購買にもインコミなんかがあることを発見した。業者委託する前ならいざ知らず、最近はニーズに合わせた品揃えになってきているからだ。前は、主要学術出版の新刊はあらかた揃っていて、広告で見かけた本を手っ取り早く手に入れたい場合なんかに、けっこう便利だった。あと文芸文庫の類も揃っていた。まあそれでも今は、けっこうギリギリのところで、採算と格調のバランスをとっているようにも思われる。で、そこにアエラムックのコーナーがあり、立ち読みをしていたら、社会学の新版もおいてあった。出たのは知っていたが、買いそびれていた。
 概論やるなら、買って薦めなきゃいかんなぁ、まあ自分の関わった子犬のほうもそーいやすすめてねぇなあ、などと思いながら、めくっているとなかなか萌えなないようで、読み込んでしまい、結局買った。買った最大の理由は、社会学史の整理がとても簡便で、学生さんたちにさわりを説明し、購入に誘おうと思ったからだ。教室にもって行き「これ知ってますかぁ」などとやれば効果的かなぁなどと思った次第。あと、概論の場合、他学科の人がものすごく熱心で、テストもできるし、あといろんな質問に来られたりする。この前も英文科の人が、推薦図書以外になにを読めばいいと言われ、考え込んだ。まあこれを紹介すればよかったのだなぁと思った。
 内容的には、どこもみな面白い。ハズレがない。一気に読み終わった。そのあとまだザッピングしている。どれが一番か?好事的な観点から一つ選べと言われたら、やっぱ鵜飼正樹氏のやつだろうと思う。理由は読めばわかる。それはともかく、このムックはすべての執筆者の顔写真を載せてあるのがスゴイ。これではじめて顔を知った人もいる。知っている人は知っているサイトに「社会学者のカオ」というものがあって、日本と外国の社会学者の写真が集めてある。選択の基準はなく、片っ端から集めている。日本人のこの人はこういうカオかちうのもあるけど、外国の古典的社会学者のものもあげてある。まあそれとは違うんだろうけど、写真だけ一通り見ている自分に気づいて、ハッとした。
 面白いと思うのは、それぞれの人の人となりがクローズアップされる編集になっているからかなぁと思う。最初の方には、自分史的な学問形成過程などについて論じられている。客観的な講座というよりは、それぞれの学問が語られているようなカンジで、私としてはとても面白い。こういう内容は、たぶん今の学生にも受け入れられやすいと思う。前任校で、教員が自分の学問を語るという講義があるらしい。従来のアカデミズムからすると、噴飯ものと言えるくらいなのだが、ものすごく学生には評判がいいらしい。外部評価のポイントも非常に高かったと聞く。そういう時代の動向を4だかどうかは知らないが、なかなかツボを押さえた編集になっていると思った。