多田治『沖縄イメージの誕生』をめぐって

 今日は6期生がランチをするというメールが舞いこんできて、なかなか筆も進まないし、まあ逝っちゃおうかなぁと思って、逝っちゃいました。主な話題は仕事や転職や恋愛なんかの話で、聞いているだけで、けっこう勉強になります。6期生の場合は、新宿のどこかでメシを喰って、お茶をするというのが基本コース。お茶は京王プラザのロビーが、最近の定番で、コーヒー&紅茶おかわり自由でケーキセットが1200円、席はゆったりしているし、騒がしくないし、落ち着いた雰囲気でなんてことを考えると、ラミルはもちろんのこと、スタバや、もしかするとドトールなんかよりもお得感があります。
 結局夕方すぎまでしゃべりましてバイバイで、私は紀伊国屋新宿店に行き、新刊の多田治『沖縄イメージの誕生』(東洋経済)を購入。「青い海のカルチュラルスタディーズ」と題されたこの本は、美しい沖縄の海が表紙となっており、また教室での多田先生の姿が生き生き浮かぶような論述、配慮の行き届いた読書案内やコラムなどがならんでいて、かつ文献目録などもけっしてこけおどしのものではなく、それでいて野太い論述で、沖縄の復帰、開発、リゾートのイメージなどを読み解いているのには、うーんとうなりました。正直カルスタ系の書物は、研究動向紹介などがあって、なんかじゃまくさいし、これって馬路カルスタなのッテ思うこともあるわけですが、渋谷望氏の『魂の労働』などとならんで、この本はガツンとくる存在感を放っております。もちろん、動向的な文献も精査してあって、おそらくは博士学位論文のリライトだと思われます。かなり高度な思考枠組みを使った論述もあります。しかし、非常に工夫した論述によって、読みやすい本になっているのには、感嘆します。
 帯にでかく「吉見俊哉氏絶賛!!」と、おったまげーしょんダブルな宣伝文句があるのには、さすがにぶっ飛びましたが、さらに野太い字で、「パワフルな研究力だ!」とオッタマゲーションをたたみかけていて、なんかさ、ちゅらさんのおばあな世界がそこにあって、真っ青な表紙にカンムリワシな威風堂々は、カルチュラルタイフーンののりのりな様子まで、彷彿とさせ、(・∀・)イイ!!と思ってしまうのであります。
 私は岡山という街で暮らす大学生や、市民の文化を描く仕事をしてきたわけですけれども、カルスタ的なものとは違うことをしたいと思ってきたわけです。そういう構えを持って、この本も読んだ(というかめくった)わけですが、自分の研究のいたらなさ=理論的な掘り下げの不足、官公庁資料など各種資料の精査の不足などを、禿げしく反省した結果となりました。