近代社会学史と高校世界史

 そろそろ後期の授業の準備を始めなくてはいけません。本務校の文化社会学では、社会心理史の概説を試みる予定です。もしかすると、来年度にかぎって歴史社会学という科目をやる必要が出てくるかもしれず、キチッとやっておきたいと思っています。おまえがと言う人も多いと思いますけど、社会心理史は南博氏の流れを汲み、構築主義は佐藤毅氏の門下であるので、試みてもわるくはねぇだろうと。ただ、メインストリームの紹介もちょっとしなくてはいけないので、『作法』とかは読んでおこうかと思っています。ゼミや短大の講義は、一応もう方針が立っているので、特にこれからやることはありません。
 問題はピンチヒッターで突然引きうけた社会学史で、前期にやったものを改良しなくてはいけません。私なりの反省総括として言えることは、歴史的背景をきちんと説明することが重要ということと、もう一つは現代のどんな問題を考察できるかという応用的な面をじっくり説明すること、この二つが大事だということですね。特に、宗教改革ルネサンスから、三十年戦争ウェストファリア条約までの流れをしっかり整理することは、近代社会学史の講義で重要なポイントとなると思います。
 本を読んだりビデオを見たりしてしばしば痛感するのは、自分の歴史知識のなさです。受験の社会科では、政治経済・倫理社会と地理を選択したので、高校時代歴史をやりこんでいないんですね。新書と地図帳はいまだに愛読しているわけで、地理や政経はさほど苦労しなくても準備ができたんです。これに対して、歴史は教科書も厚いし、なんか苦手意識がありました。新書なんかもあったはずなのに、苦手意識がありました。高校や大学学部くらいまでは、苦手意識とかどうでもいいことが人生を分けたりしますよねぇ。特に世界史は、先生が凝った講義をしたというか、一年の大半をペロポネソス戦争近辺の歴史をじっくり説明するというようなことをしたので、話自体は面白かったんですけど、受験となるとちょっとなぁってかんじだったわけです。
 大学に入って、歴史を真剣に勉強しなかったことは後悔しました。現代史は猛勉強したんですが、近代以前は知識がバラバラで、おおざっぱな流れしかわからない。何年か前に一念発起して、読むぞと思って、山川出版の『詳説世界史研究』を購入しました。大昔の参考書と違い、暗記用の情報が『ぴあ』みたいに羅列されているということはないのですが、なんとも読みにくい。しかし、適当に新書や文庫の歴史本でよみほどきながら、通読してみようと思ったのですが、なんともにんともです。結局熱心な世界史の先生のサイトなどを参考にさせていただいて、プリントをつくることになります。もちろん無断転用はしませんけど。
 母校の社会学部は、上原専禄がカール・ランブレヒトの世界史論などに想を得て構想したとも聞きます。上原の世界史志向はいろいろなところに散見されます。実は、岡山時代著作集を頼んだのが、いまだにこちらに届きます。娘さんの執念とも言えるような付記*1を楽しみに、届くとめくっています。今では誰も読まないんでしょうが、上原の『歴史的省察の新対象』という本は、なかなか刺激的であると思われます。*2上原の、有名な検定不合格世界史教科書なんかは、読むにはいいかなぁなどと思うのですが。こういう欲求を満たしてくれる新書類なんかを物色しますが、最近のものでわかりやすく、かつ格調の高いものが意外にない気がします。
 それはともかくとして、歴史の参考書やテキストをみるたびに、こんなものを読んで入試を受け大学に入ってくる学生のみなさんって、すごいなぁと感心してしまいます。なのになんで簡単な課題もできないのかなぁと思ったりもします。w

*1:あべきんやは弟子でもないくせに父の弟子面するんじゃねぇみたいな付記.

*2:社会学的想像力』と併読するのは効果的だと思います。そして、学生向けに翻案できないものかなどとおもったりもしています。