奥井智之『社会学』によせて

 東京に帰ってキマスタ。今大学でごんす。奥井智之著『社会学』(東京大学出版会)が届いていた。ありがとうございます。ふつうーとても唯我独尊な価格設定をすることで有名なこの本屋さんにおいて、二千円を切るというところに、出版者側の期待がうかがえる。一人が書き下ろした最新の社会学体系として、社会学を学ぶ者が必読の一冊であると思う。くれるというからそうしたわけじゃないけど、私はこれを一年生社会学概論受講者のうち、社会学コースに進む人への宿題とした。今は、『社会学のエッセンス』(有斐閣)という本を、一章ずつプリントをつくって、テキスト通り説明するのと、あとトピックを追補して噛み砕くのと、それから小括っぽく、章立ての流れを整理するのとやっていて、このノート整理が夏休みの宿題。でもって、この『社会学』は、目次立てを変えて組み替えるというか、自分なりに社会学の体系的な筋道をまとめなおすというか、言葉を換えると、テキスト指定している本の目次を相対化するというか、そうした思考実験をしてもらうことを課題としている。
 ただ、この書物は、そういう初学者のレッスンにのみ有効なわけではなく、既習者が卒論などを前に社会学の知識を整理するのにも使えると思った。よって、二年生と四年生のゼミの課題図書にもした。三年生は読みそうもねぇ椰子らがそろっていて、ごるぁああ、っつーかんじだけど、一応推薦した。パツキンガングロのおねぇがいるんだが、この椰子が公務員志望だというので、先だってまで国家公務員試験出題委員だった著者の本ということで、プッシュした。いやあ、まじめな意味で、そういう観点からも意味あると思うよ。だって、おそらくは、委員になった人なんかは、社会学のオーソドキシーというか、スタンダードに習熟しているわけだろうし、出題者自身がそういう学識を総括しているだろうから。つまり、これまでの講義録を整理し、さらに勉強した上で、出題を吟味するなどの作業をしたはずだからである。でもって、そうした体験を踏まえてどんなことを論じているかということは、やっぱスゲェ参考になると思うなぁ。
 別にいただいたからここに書いたというよりは、受講者への参考のために書いたわけです。だいたいここに書いたからといって、売れるわけじゃないだろうし。まあ、本屋さんに行ったら、ニセ平積みやりまくっておくクライのことはするかも。