月凪を歌う

 チャリを転がしながら歌を歌う。ウォークマンをしているときもあれば、そうでないときもあるけど、たとえば岡山旭川の川べり桜並木に沿って行くときに、加速する自転車の心地よさを歌に託す。たとえば、135の「我愛尓」、スピッツの「ロビンソン」、古いところでは五輪真弓の「なんて素敵な日」−−私は五輪のこのころの歌がすごく好きで、この歌はマイベスト@五輪なんだけどね−−、あと洋楽だと@ジョニー・ミッチェルの「Both Sides Now」だとか、キャロル・キングの「タペストリー」とか。それが2ちゃんをはじめて、気分は厨房と化し、自転車こぎながら時折「逝ってよし!」だとか、「氏ね!」などとつぶやいたりするようになっちゃった。でもって、ちんこ音頭が流行ってからというものの、これが耳について離れず、「ちんこ音頭でも〜みもみ♪」というおなじみのフレーズを口ずさみながら、自転車を転がすようになっちゃって、通行人に笑われたりするようになっちゃった。しかし、ここのところ自転車を転がすときに思わず口に付いて出るのは、東京エスムジカの「月凪」である。武蔵野市から、田無をとおり小平方面に抜けるサイクリングロード、玉川上水沿いのいわゆるラバーズレーン、岡山なら吉備路サイクリングロード、そしてもちろん旭川沿いの道などの、緩やかな下り道を気持ちよく自転車で行くときなどに、この歌は、なによりふさわしいと思う。ゆるゆると走っていた自転車が、下りになって気持ちよく疾走するのは、滑空の加速に似て、実に心地よい。岡山の休日も、この歌を歌ったし、そして昨日今日も善福寺付近の道を行きながら、この歌を口ずさんだ。「ちんこ音頭」なんか歌っていても、せいぜい思いつくのは「うんこ音頭」という替え歌くらいで、めっさ不毛でくだらないけど、「月凪」を口ずさむと、この猛暑のなかですら、心地よい気分になる。自転車転がしすぎて、土方焼けになってしまっている今日この頃である。
 本日は、前期の打ち上げということで、四年のゼミコンパ@吉祥寺であった。同じ日に、今春卒業した7期生が同期会するっちゅーことで、四年ゼミは「来ます〜?」とかゆうし、今春卒業の連中は、へなちょこだけど、すげー面白い奴が揃っていて、迷うには迷ったけど、やっぱ打ち上げをサボるわけにはいかねぇし、卒論などのことで、お灸をすえておかないといかんと思い、そっちに行った。四年生は、地方都市の出身者が半数くらいいて、私的にはメンタリティ的に非常に近しいものを感じたりもしている。一次会は、いわゆる無国籍料理店で、8時まで半額という安い店を見つけてきてくれ、リーズナブルに楽しんだ。うちのゼミは、三越直南にある「まりや」というお好み焼きやさんが、定席とも言えるコンパ会場なんだけど、問題は冷房が入らないことで、真夏の今回は見送り。昭和三十年代にトリップしたような民家そのままの店構えは、B級グルメな嗅覚を刺激するに充分な「おいちいよ」というフェロモンがむんむんな店である。そして、お好みも、焼きそばもパリッとしていて美味しい。昔なつかしい東京の味だ。なぜクーラーがないのかはわからない。夏でも、扇風機のみ。そこでお好み焼きを焼きながら食べるのだから、暑いのなんのっって、なぜ知っているかと言えば、成蹊大学でゼミをやらせていただいていたときに、真夏にコンパをしたのである。終わる頃には汗びっしょりだった。ちなみに8月になるとあまり暑いので夏休みとなる。
 一次会が終わり、今回は二次会もやることに。カラオケに行った。三年時に二次会カラオケにしたら、歌わないで話し合っていた学年だけど、今回は歌いまくった。と言っても、下の学年みたくタテノリというわけではなく、面白い趣向をはじめて、ビックリした。1990年から、2002年までのメドレーを全部歌ったのだ。得意な奴、歌いたい奴が、かわるがわるマイクを握って、合唱。こういう楽しみ方もあるのかと、しばし感心。言うまでもなく、大塚愛さくらんぼ」、オレンジレンジ「ロコモーション」など、最近の定番などを差し挟んだ。一曲くらい歌わなきゃいけないので、一節太郎の「逃げた女房にゃ♪未練はないが♪」でも歌おうかと思ったけど、本を見ていたら、なんと「月凪」があった。でもって、速攻曲を入れる。メインボーカルはけっこう歌いやすい。ただ、バックコーラスまで、一人で歌うのは無理。最後のところにハングルがメインにシフトしてくるけど、そこでギブ!!みんなすぐ歌を覚えて、二番からは合唱ですた。たてのりもいいけど、まあこのくらいのほうが私にはなごむかも。