社会学概論

 社会学概論は、本務校で隔年に近いかたちでやってきて、大東文化大学だとかでも原論をやらせていただきましたし、また前任校の教養部でやっていた講義も、最後のほうはジンメルカストリ本みたいにした雑談社会学になっちまいましたけど、最初の頃はニスベットの入門を使い、その後ミネルヴァからでた『現代社会を解読する』をテキストにして、体系的に講義したわけで、かれこれ20年近くやってきたことになります。テキストは鈴木広先生の編集で、商業出版の本にはじめて書かせていただいたものです。出たときは非常に感激した覚えがあります。最初の頃は、テキストの性格もあり前半学史または基礎理論、後半各論みたいなかたちをとってきましたが、最近は具体的な各論から入り、それを最後に総論的にまとめるというような仕方でやってきました。しかし、今年は『社会学のエッセンス』を用い、総論的な目次立てのものを、具体例で肉付けしながら話すというふうにやっています。これは、関西社会学会の『フォーラム現代社会学』で、社会学教育法の議論を読み、テキストマニアを自称される高橋三郎先生が話されていた教育法です。そこでのテキストは、私が学史の講義に使っている『社会学的思考とは何か』ですが、コンパクトさとこなれ具合などをかんがえ、『エッセンス』にしたわけです。同様のやり方で用いたテキストには、『社会学に何ができるか』、『社会学のよろこび』などがあります。『社会学のおしえ』も使ってみたい本ですが。で、今年のこのテキストは一年目なので、とりあえずはレジュメ的なノートをつくるということで、テキストに比較的忠実にやっています。平行して二年ゼミもこのテキストを使い、そのレジュメを講義に活用するというふうにしています。ふざけた省力化ともとれますが、議論を通して学ぶことも多く、それを講義に生かすというのが狙いです。ほんとうは小テストを概論で何度もやり、その出題や採点や添削を二年ゼミのほうですると、非常に教育的効果があがるんでしょうが、プライバシーの問題もありやりにくいです。なお課題としては、ノート提出を予定していて、よいものは複写保存するという魂胆であります。で、本日は、「ジェンダー」が主題。性の社会性、いろいろな不公平、機会均等、結果の平等、国連婦人の十年など、定番的なお話をした後で、n個の性だとか、セクシャリティという話をし、「異常」のミニマム化という点からまとめました。テキストの前のほうに「異常」の説明として、メアリーダグラスの理屈が紹介されていたので、これなんかを応用し、個別的全体的性としてのセクシャリティという視点の意味について話すというかたちで、無難にまとめました。みんな熱心に批判を書いてくれて、参考になりました。講義中、「子どもをシュポッと産んで」ということを口走りましたら、「非常に不愉快」と批判された方がいて、襟を正し、反省した次第です。受講者の方もみていると思いますが、ここでいろいろ議論を膨らませることができたらいいなと思っています。それともクローズドで議論のためのブログを解説した方がいいスカね?ここでも、講義の際にでもお聞かせ下さい。