天田城介他『老いを治める』

 天田城介先生より本をたまわった。ありがとうございました。本当に恐縮しています。活発な執筆活動をしている先生方から、しばしば本をいただくが、こちらは共著が多く、なかなか献本返しが苦しく、次の単著を出すまで待ってください状態になっていて、お恥ずかしい次第です。
 いっしょに生存学という雑誌がついていた。立命館大学は生存学のCOE拠点であるのですね。ハーベスト社のしゃっちょさんが、「あそこはそうそうたる人材が揃っています」とおっしゃっていたのを思い出す。これからの大学は、国際的な研究拠点を目指さなくてはならないという社会的な要請がある。立命館の威容は、立岩サイトにも詳しく紹介されている。
http://www.arsvi.com/a/pamphlet.htm

老いを治める―老いをめぐる政策と歴史

老いを治める―老いをめぐる政策と歴史

生存学 vol.2―生きて存るを学ぶ 労働、その思想地図と行動地図 QOLの諸相ー生存の質と量 市

生存学 vol.2―生きて存るを学ぶ 労働、その思想地図と行動地図 QOLの諸相ー生存の質と量 市

生存学 vol.3―生きて存るを学ぶ ロングインタビュー立岩真也×天田城介 特集:精神

生存学 vol.3―生きて存るを学ぶ ロングインタビュー立岩真也×天田城介 特集:精神

内容(生活書院ホームページより)

 『戦後日本社会における老いをめぐる政策と歴史とは、未曾有の「高齢化」とともに高齢者が「少数派の中の多数派」 「マイナーの中のメジャー」となっていく歴史的ダイナミズムによって形成されてきたのである。もっと平たく言えば、 戦後においてメジャー化していった「中産階級」の老いこそがこの国の老いをめぐる政策と歴史を形作ってきたのである。そして、 そのことがこの国における老いを治めることを可能にしているのである。本書はそのこと(だけ)を記したのである。』
 著作についても、はたしてというべきか、立岩サイトに詳細な目次などが紹介されている。
http://www.arsvi.com/b2010/1103aj.htm

目次:

 第1部 老いをめぐる政策と歴史(在宅介護福祉労働はいかに担われてきたのか;1980年代以降の高齢者に対する税制改正を伴った医療制度改革の現在;老いをめぐる政策と歴史 ほか)
 第2部 老いの周辺をめぐる政策と歴史(日本のリハビリテーション学における「QOL」の検討;人工腎臓で生きる人々の運動と結実;1970年代の血友病者たちの患者運動と制度展開 ほか)
 第3部 老いを治めるということ(「脆弱な生」の統治;折り重なる悲鳴;“ジェネレーション”を思想化する ほか)

 天田さんの著作に接すると、専門外ですが、勉強させてもらいます、などといって済まされないコクのある立論から多くの刺激を受けることが多い。今回の著作も、「脆弱な生」の統治;折り重なる悲鳴;“ジェネレーション”を思想化する; 「少数派の中の多数派」 「マイナーの中のメジャー」、といった文言に引きつけられ、ペラペラとめくりながら、サブカルチャーについて考える手がかりをあれこれ考えることができる。と同時に、共同研究というようなことには背を向けて、なんとなく日々を過ごしている自分を反省することしきりであった。いろいろな意味でありがとうございました。