本丸亭と天吉

 お盆時期を中心に、元町プールに行くのは、毎年の恒例になっている。最初は代官坂とば口にあるプールに登るのもハアハアゆっていたわけだが、最近は鍛えているため、あまり暑さも感じないし、直接行くのもなんだからと、平楽あたりから山に登りみたいになってきていて、今年は西スポーツセンターに行くのと逆回りに、野毛山、清水が丘、保土ヶ谷公園、児童公園、岡村町、それから平楽、山手と抜けてやろうか、などと思っています。
 13日は夜に会食があったので、昼は直行、途中で懸案の横濱元町塩らー麺の本丸亭で塩ラーメンを喰いました。懸案というのは、いつも前を通るけど、食べたことがなかったと言うことです。ここで軽く食べるなら、やっぱり安記か六鳳居でおかゆか、ひねるなら同發でカレーライスでも、とか思ってしまうものですから。
 非常にシンプルな麺とチャーシュー二枚と春菊のしという感じで、スープは透明、麺は平太もっちし、というかんじで、なかなか美味しいものがございました。チャーシューも、煮込み系ではありましたが、バラ肉にこだわった濃厚なもので、私の口にはあいました。食べて運動したあと、ゲフッと出たゲップが、良質の讃岐うどんほどは美味くなかったのは、う〜んと思わないことはありませんでしたが、そこでメッキがはがれたとか、そういう意味ではけっしてありません。
 プールは最初はすいていて、一気に5000メートルと思いましたが、さすがにお盆休みで混み出して、途中休憩タイムも入り、かつ芋洗い状況になってきたので、3000メートルほどで引き上げました。ちょっといつもよりは運動量が落ちたのは事実です。かなり歩いたようですが、通勤と比べて歩数的には少なかったです。炎天下ウォークだったのですが、坂道が代官坂だけだったので、アップダウンコースに比べれば、サウナで汗が出たのとさほど変わらない感じですね。
 夜は会食で、横浜天吉に。明治四年創業と暖簾にある老舗で、某ミュージシャンユカリのお店として知られています。ここのところ登良屋ばかりいっていたので、たまにはこちらということになった次第。薄い衣でうま味をとじこめ絶妙の火加減で、といったカンジとはちょっと違い、うま味閉じこめ火加減はもちろんながら、衣がごま油で鬼クリスピーというのが、ここの特徴だと思います。かき揚げはどでかく、分厚いのですが、これがもうフレンチクルーラーのようなというか、カリフワ状態で、美味しいものがありますのですね。
 で、ぶっ飛んだのは、定食の量。昔っからこんなに多かったっけ、と異口同音。なんか、ここは岡山の大盛り店かという錯覚にとらわれるような、すごい盛りの良さで、みんなさすがに食べきれないかんじになりまして、かつそんな多いとは思わないので、刺身頼んだり、小かき揚げ頼んだりして、その小かき揚げがまたでかいこと。だったらさ、大かき揚げ丼とか、どんなもんなんだろうね。小でホットケーキ三枚重ねくらいはあったと思いますよ。非常に美味しくいただいたわけですが、さすがに残して、「持って帰りたい」と言ったら、「お包みですね」と言う。お包みデフォルトなのかね。

 そして、お包みの包みをもってきた店員さんが、「天かすを添えておきましたので、お召し上がり下さい」。この辺が横浜らしいと思います。余ったら「お包み」。ささやかなおまけ付き。丸谷才一が、食べ物エッセイで横浜に触れ、出前のあんちゃんに買い物頼むと、買ってきてくれる街といっていたのを思い出しました。