本屋に久しぶりに行く。ぶらぶらしながら、いろいろな本を買った。最近ワンクリックでアマゾンで買いまくっていたら、すげぇ引き落としになって、もう洋書以外は買わない、みたいな勢いになったからだ。で、文庫売り場で新釈現代文が文庫化されているのをみて、驚いた。まあ、団塊の世代とかが定年化すれば、こういう文庫化はこれからもいろいろあるだろうな、とは思う。この本は、Z会が推薦していた参考書だった。『和文英訳の修行』とか、当時はかなり無茶な、というか程度が鬼のように高い参考書が多く、この本なんかも本のアウラに胸一杯になりながらも、なかなか消化した人は少なく、むしろ大学に入ってから、そうだったのか!、と意味がわかった人も多いんじゃないかと、私は思っている。
- 作者: 高田瑞穂
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
伝説の大学受験国語参考書、ついに復刊。そこには、「たった一つのこと」しか説かれていない。それは、論の展開を正確に「追跡」して論旨を把握すること。1959年の刊行当時、知識偏重から論理重視への転換期にあった受験現代文の特質をみごとに捉えた、今に通じる画期的な方法だった。さらに、本書は「人間主義・合理主義・人格主義」を柱とする近代思想の啓蒙書でもあった。ポスト・モダン以降の思想が批判してやまない「近代」が志向していたものが忘れられつつある今こそ、本書を読む意義がある。20年以上も定番であり続けた名著に新たな命が宿るときが来た。
著者について
高田 瑞穂
1910(明治43)~1987(昭和62)年、静岡県生まれ。東京帝国大学文学部国文学科卒業。大学院では国文学のほかに哲学も専攻。府立第一中学校(現・日比谷高校)教諭、成城高等学校(旧制)教授、校長などを経て、1954年に創設された成城大学文芸学部教授に就任。その後、成城大学名誉教授。近代文学研究の第一世代として活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
アマゾンレビューより
By エルボー三沢
受験現代文に一貫した論理的な方法論を持ちこんで初めて支持された人ではないかと思う。私はかなり昔に受験生であったのでとても懐かしく感じた。この本は70〜80年代後半ぐらい?やそれ以前の合格体験記等では最難関大の学生に絶賛されていた本であるがいま冷静に振り返ると当時はあまり論理的でかつ解答解説の詳しい本は少ない(あっても場当たり的な薄い解説で方法論が一貫したものはほとんどなかった)のでこの本は今見るととても古臭く感じるかもしれないがその時代では最先端だったのだ。どこか高尚で哲学的な感じも当時のはやりであった。やがて受験産業がこういった流れに目をつけ大量に解説の詳しい本が出たり、受験生に圧倒的支持を受けた論理的解説のうまい現代文の講師のおかげで某予備校が躍進していったこともいま振り返ると印象深い。今の読みやすく過剰にシステマティックな現代文参考書で学ばれた学生にはとても読みにくく難解に感じ、評価が分かれるかもしれないが今の本では得られない何か感じるものがきっとあると思うので受験勉強のためとは考えず教養のつもりで是非読んでみてほしい。
http://www.amazon.co.jp/新釈-現代文-ちくま学芸文庫-高田-瑞穂/dp/4480092234
解説は当然この本を翻案した現代文の参考書みたいなのを書いた石原千秋で、この解説も面白い。っていうか、まったく受験勉強しなかったのが、これを2週間で読んで大学に受かった、というのは、恐るべきは石原だと思う。この本の訴えかけることの意味あいを読みほどければ、たしかにどんな本も読みほどけるだろう。
入試の監督をしていて、国語の時間になると、多くの受験生たちは問題文にサイドラインを引いたり、鍵語をマルで囲ったり、テクニカルなトレースを施し、ホッとした顔で設問の回答を始める。そんなことはないんだよなぁ、と思いつつ、他方で『国語入試問題必勝法』などを思いだし、例の方法もありだよなぁ、とか思ったりもするのである。
自己啓発本の類がゾロゾロ出ていて、わけわからない自己満足本が粗製濫造されているため、何を読んだらいいかわからない。受験知を整理し直して、シンプルなノウハウ本があったらいいなと思うのだが、まあそんことするより、クイズになった入試本でも読んだ方がいいのかもしれない。
ところどころに入試問題が埋め込んであるのが妙な気がする、妙な受験参考書であると思う。