BOSS

 今でも時々、稲荷山健康ランドの勵明薬湯のことを思い出す。岡山を離れる前には、毎週のように行っていた。また、集中講義に行っていた頃は、授業の帰りや中休みの日などによく訪れた。ぬるいのだが、しばらく入っていると汗が噴き出る。ここにも何回も書いた。東京のサウナにもあることを知り、出かけた。やや温度は高めで、なつかしかった。しかし、今はサウナが中心。15分を2ラウンドもすると、かなり汗が出て効果がある。そこのサウナは、一分もしないうちに大量に汗が出てきた。体調が悪いのかと思ったらそうでもない。よく見ると、温度計が100度を超えていた。こりゃもう、フィンランドやロシアの本場なみの温度で堪能したが、危険なので時間は短めにした。30分以上も汗が引かなかったし。
 『臨場』。演出は、もろ相棒とかぶってるんだね。娯楽番組の俗情にまみれつつも、なおキラリと光っているぜ、みたいな意気地も感じないこともないし、また「俺のとは違う」「残さず拾う」などという決めぜりふを定型化し、仏を拝み、お約束の飲み屋、釣り堀等々を入れ、でもって仲が悪いんだかいいんだかわからない喧嘩友達とのがるるるるるぅ〜、などを随所に交えながら、テレビの枠組を黙々とつくり出し、運用している。そうやって垂れ流され、忘れ去られている死屍累々を、誰かが拾って、整理する必要があるんだろうけどな。
今期一番人気という評判の『BOSS』は、ちょっと忙しくてみていられずに、録画しても消しまくっていたんだが、ここのところの勢いだと、下手すると20%行きそうだという感じらしく、なんか十時くらいのほうがドラマヲチャーが帰宅するつぅだけじゃね?とか言いつつも、とりあえず録画してみてみることに。
 これって基本は、『離婚弁護士』ダベ、と言いたくなるくらいに天海祐希奈ドラマになっているかんじ。あの時も瀬戸朝香がそうだったんだろうが、ハンサムウーマンがマルティプライズして、かっちょいい人々の会話がたたみかけられるようにして、リズミカルにドラマが進行する。なんかさ、アップテンポのセリフかぶせまくりに、これもまたかよと思ったら、「24みたいなでかい事件やりたいッス」と言った部下を、天海が「事件にでかいも小さいもねぇよ」とか叱りつけた、そのタイミングがあまりと言えばあまりに見事で、ぶっ飛んだ。
 戸田恵梨香吉瀬美智子あたりとのかけあいは、かっこつけすぎじゃない?ってくらいのところがあるんだが、なんか創っている人たちがすごいのか、役者がすごいのかわかんないけど、なんつぅか、・・・・あると思います。みたいな。
 けっして映像トリップ系ではないし、妙なカメラアングル使うわけでもなく、でもひたすらにアップテンポで、ジツに子気味がいい。そしてそのセリフの光速あやとりみたいなカンジのやりとり間に、パフォーマーの味のある表情がプロット(笑)されるみたいなかんじ。ネタやトリック自体は、まあ、ベタと言えばベタと言えないこともないんだが、ともかくかっこいいので、有無を言わさずみせられちゃう感じ。
 『相棒』→『臨場』もそうだし、だいたいにおいて一つ人気だといろいろつくって、『水戸黄門』→『大岡越前』→『江戸を斬る』みたいな必殺のローテーションみたいなのができるといいな、みたいなのはよくみたことあるわけだが、天海みたいな同じ主役つかって、別ドラマだけどジツはいっしょみたいなのを創るのって、あたらしくね、とか思って考えてみたら、なんだよあったじゃないか、必殺の藤田まことが。あるいはまた似たようなヤツの山田五十鈴とか。まあどーでもいいヘリクツはともかく、こりゃ面白いということで、毎週みることにしました。