アタシんちの男子

 駅にあったポスター一枚で美術道具歌舞伎まくりぢゃね、みたいに思い、お台場明石城の極妻を思い出しつつ、このドラマは見なければと思った「アタシんちの男子」、略して、アタコかと思ったら、「アタ男」だった。問題は、こう書いて、あただん、と読むのか、それとも、あたお、と読むのかが、わからないが、とりあえず一通り下調べをする。報道記事で次のようなのがあった。

 女優、堀北真希(20)が8日、主演ドラマ「アタシんちの男子」(フジテレビ系。14日スタート、火曜午後9時)の制作発表に登場。ロングスカート姿がとてもキュートですが、ドラマでは、ぼさぼさ頭にボロの服を着て、リアルなホームレスに変身。「本当は臭くないのに、臭そうに見えるので、スタッフも近寄ってきませんでした」と得意顔でした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090409-00000022-ykf-ent

 まあこう書いてあれば、松浦亜弥の私汚れちゃいマスタ、みたいなCFみて、そんなことしてっから、社会的性格としてBPDなカンジになってませんか、なんつぅふうにそれなりに「ゼロ年代の想像力」をカンジ、戸川純が「おしりだって洗って欲しい」ってやってたころって、よかったよなぁ、とか、ノスタルジックに遠い目になり、ドコモの堀北は、やっぱり逝ってよし、クロサギのドタドタランニング堀北カンバック、とか思わず心の中で叫んだ私としては、とにもかくにもビデオを仕掛けたのであります。で、エンケン阿部寛のドラマに続いて、お昼の休憩にキュキュキュとしながら、よりぬきで鑑賞。なんかすごい筋立てで、大丈夫かと思ったんですが。

 峯田千里(堀北真希)は、公園のダンボールハウスやネットカフェを転々としている20歳の女の子。千里がホームレス生活を送っているのには理由があった。千里は、幼いころに母親を病気で亡くし、父親の徹(鶴見辰吾)も失踪してしまったため、たったひとりで世の中を生き抜いていた。ところがあるとき、千里のもとに突然、借金取りが現れる。千里は、徹がギャンブルで作った1億円もの借金の連帯保証人にされていたのだ。以来、千里は、ヲタク界でカリスマ的な影響力を持つネットカフェの店員・国土豊(つるの剛士)らに助けられながら、借金取りから逃げ回っていた。
http://wwwz.fujitv.co.jp/atashinchi/trailer/index01.html

 紋切り型に言えば、はちゃめちゃ、みたいな感じだけど、湯けむりスナイパーのストリッパーなハードボイルド、森三中風にいうならば、股ぐら一本スジがビシッと入った人の意気地なんてものも、このドラマを見ていると、やっぱりそれなりに紋切り型で、俗情なのかもしれませんね、みたいに思わないこともない。トッ散らかってイルは、すっ飛んでイルは、ドラマの物語を支える安定した眼がくるくると入れ替わるわ、まあ例えば山本耕史がブタみたいにブヒブヒしたり、高島礼子がホスト好きっぽかったり、役柄パフォーマンスがひゅんひゅんkeyingし、役者さんがそこをfootingし、そんでもって、落としどころみたいな感情やセリフ、そういって悪ければ映像のサゲみたいなものを、次々に破壊しながら、疾走する物語の中で、プー太郎みたいに薄汚れた堀北真希が絶妙な眼をしている、ってか。
 はじめはさ、なんか、中原昌也の読み過ぎぢゃね、みたいに思ったけど、そんなこともないよな。一応さ、なんか、泣けるだろ、みたいなところがある。だから中原より新しいし、あるいは一般ピープル向け、と言って悪ければ、中原ファンのガキはともかく、大人の人もヨロシコってことでつか、みたいに思ったけど、すごいと思ったのは、つぎつぎにひゅるひゅるとドラマ空間、映像空間が反転するの。泣いただろみたいなあとで、思わず笑うみたいな仕掛けがしてある感じで、それがすごい速度感で一気に終わる。まさに釘付けの図。
 これが期待しすぎなのか、どうかは、田山涼成にかかっている気はするが、一応は初回については、草刈正雄と田山の眼でオチがついている。小ネタもいっぱいあって、それなりに、時効警察パスティッシュしてみますたみたいなことを、山川豊。お兄さんは鳥羽一郎、という少年少女の阿部ちゃんもぶっ飛ぶ作り方で処理するなど、すごいことになってますですね。これは毎回みるつもりですが、初回視聴率14%ちょいというのは、そんなもんなのかね。