バカ番組の横行が叱られる

 正月番組だとか、スペシャルだとかは、趣向性や企画性を試すような実験的なものをのぞけば、東映お正月映画のウルトラ劣化版みたいなものだということは、今に始まったことはない。などと比較すると東映ファンのうちの親ぢに怒られそうだ。アレは格が違う、黄金期のスターそろい踏みなんだぞ、バカ番組劣等化のためにつねに引きあいに出されるとりあえずいい番組とされているあの篤姫で北大路きんやちゃんが他を圧倒するようなアウラを放っていたけど、そのきんやちゃんすらもうキャいーんとゆうしかないような大物俳優そろい踏みだったんだぞ、みたいな話がひとしきりはじまっちゃうのである。その親ぢがオードリーや、くまだまさしや、ハイキングウォーキングは面白いと言っているのはそれなりに笑えるわけだが。まあともかく、つまらないと言うしかない正月番組があったのは事実だ。今年も。
 他方で、テレビ番組がシャビーになっていることについて、テレビ界の偉い人がビシッとキメルみたいなことは、よくわかる。ご意見は「ゆたかな社会」に慣れきった日本人の生活への警笛にもなっている。もっとも、注意されているのは、ゆたかさを享受できなくなってきた層だけだということもあるかもしれない。まあしかし、環境や資源の問題はいずれは平等に降りかかってくるから、そうとばかりは言えないか。ともかく、予算ないならないなりにビシッとしろみたいなことは、上の人は言わなくちゃ行けないと思う。それによって、現場が引き締まれば、正月番組だって面白いのが増えただろう。
 ただ年末言ったことを引きあいに出して、正月のバカ番組をフルボッコにするのはどんなモンなのかなぁと思う。というか、ミクシにあった次の記事のパンクさにはぶっ飛んだ。わははははは、すごすぎるよこれ。

●放送界の先達が憂慮する低レベル番組の横行


 昨年末、テレビマンユニオン重延浩会長が、元NHKの名物ディレクター・吉田直哉氏(昨年9月没)にからめて、朝日紙上でこんなことを言っていた。


 「吉田さんは『一億総白痴』という言葉を作った大宅壮一さんに思い知らせてやるというつもりでこの数十年間番組を作ってきた。しかし、晩年、吉田さんは“大宅さんの言葉は当たっていたかも知れない”と言っていた」


 吉田氏はもちろん、重延氏もこの数十年間、プライドを持って番組制作に携わっていた人だけに重い言葉で、反論する言葉が見当たらない。それほど、この正月の民放番組は例年になくヒドかった。


 たとえば、フジテレビが元日の朝から放送した「爆笑ヒットパレード」。「芸」のカケラもない芸人が次から次へと登場し、本人だけが面白いと思っているワンフレーズでソデに引っ込む。台本がキチンとできてないからなのか、司会の進行もグダグダで、まるで幼稚園の学芸会の様相だった。いや、何もフジに限った話ではない。日テレも「謹賀ラジかるッ」(1日)、TBSも「笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ」(3日)と似たり寄ったりだ。


 そういうと民放各局の制作サイドは「経費削減の折から」と反論するのだろう。


 たしかに中途半端なお笑い芸人をズラズラ並べれば、それなりに華やかさは演出でき、制作費も安くて済む。しかし、そうした安易な発想が、さらなるスポンサー離れを起こし、結局は自分で自分のクビを絞めていることに気が付かないのか。


 その証拠に、スポンサーとは縁のないNHKの視聴率がアップしているのだ。


 年末にオリコンが発表したドラマ視聴率上位10傑によると、トップはNHKの「篤姫」だし、08年上半期のゴールデンタイムの平均視聴率も、フジテレビに次いで2位に“大躍進”していた。たしかにこの正月も、民放に見るべきものがないから、「日本の名峰」(1日、BS)とか「世界SL紀行」(同)など普段なら敬遠しそうな番組をジックリと視聴した人も多かったことだろう。そして、その丁寧な作りに満足したに違いない。


 なにもPTAのオバサンの尻馬に乗って「子供に見せたくない番組」などというつもりはない。しかし、「収入減」を嘆く前に、民放各局にはまだまだできることがヤマほどあるはずだ。経営が苦しい今だからこそ、大先輩・吉田氏の言葉をもう一度かみしめるべき時ではないか。


日刊ゲンダイ2009年1月5日掲載)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=714873&media_id=10

年末の発言と正月番組を結びつける想像力は、まあアブダクションだと思わないことはないよな。そして論理構成は、めっちゃパンクだと思った。とりあえずフジの爆笑番組をやり玉に挙げて、・・・・上半期の視聴率がNHKなんと、フジに次いで2位。NHKがぶっちぎったやつひとつだけもってくることもできたのが、こう言っちゃうところがすげぇナイス☆。安易な発想がスポンサー離れをおこしている。その証拠に、スポンサーとは縁のないNHKの視聴率がアップしている。その証拠で、論理がヒュン、と飛ぶ。アシッド少年のび太もぶっ飛ぶズッぎゅーん。わはははははは。
 NHKの視聴率がアップしている。で、もってくるのはドラマ十傑。素敵すぎる。んでもって、「日本の名峰」「世界SL紀行」という例示もスゴイ。そして、その視聴率が高かったんじゃなく、「視聴した人も多かったことだろう」だからな。さらに、「満足したに違いない」(ウンウン!)。わはははははは。なんか、呉智英の「古今百バカ」の民主社長の巻を読むようなスリリングさである。最後に、作文の基本として、おばさんの尻馬にのるわけではない・・・と、お約束のzwar aber 。で、しか〜し、としめくくる。他にも喰い付きどころ満載で、よほどのチャネラーなのかなぁと思ったりもした。残念ながら署名記事でない。麻生千晶さんも、今井舞さんも、ぶっ飛ぶようなパンクなニューフェイス登場かと期待したのだが、ゲンダイだから、もしかしたらガチセメントだったのかもしれない。
 まあしかしともかく、正月番組はつまらないのはたしか。