日本社会学会一日目

 (承前)結局夜はバッテラを食べに国分寺@仙台まで行ったのですが、妥協なく定休日曜休業だったので、隣のお寿司屋さんで金華さばとあなごの白焼きと茶碗蒸しを食べてきました。さばは〆鯖ではなくさしみ。非常に美味しいものがありました。結局駅と東北大学を2往復ちょっとした計算になります。片道4キロ弱のはずですから、15キロ弱は歩いているはずです。まあまあの運動量だったと思います。さて、部会ですが、午前中はまず青少年研究会の部会に出ました。世界デビューしたこの研究会、なんとYCRG=ユースカルチャー・リサーチ・グループっていうのね、まあともかくとして世界標準の報告に期待する人が多かったのか、朝一から階段教室が満員で、一線級の調査研究者がずらっとならんでおりました。

現代の若者(子ども・青年・中高年(1)) 教室 B102
司会者 片瀬 一男(東北学院大学
1.現代日本における若者の市民性(1)――趣味縁の両義性――要旨
   東京学芸大学 浅野 智彦
2.現代日本における若者の市民性(2)――パーソナル・ネットワークと「趣味縁」の実態――要旨
   松山大学 辻 泉
3.現代日本における若者の市民性(3)――私的領域における社会的関心の涵養――要旨
   弘前大学 羽渕 一代
4.現代日本における若者の市民性(4)――非正規雇用と政治・社会参加――要旨
   桃山学院大学 岩田 考

 要するに社会関係資本論をベースに、若者の政治性を趣味縁という変数で説明するみたいな話。時代はソーキャピ、みたいな。一部会独占の場合身内でまったりみたいなことも多いのですが、ここではガチンコなコメントがなされ、しかも批判的ではあるが、手法的な話はじめ、主として内在的な論を含むコメントがなされ、それに対して的確に応えつつ、問題の考察が深まってゆくのですね。
 あるいは妥当性の範囲が的確に小気味よく限定され、あるいはバネル調査も予告され、シビアなちゃぶ台返しのような質問にも冷静な回答がなされ、それによってパットナムの追検証ではなく、批判的な論の可能性も提示されることで、かえって理論的な成果も視野に入っていることが宣言されたりしたりして、ほよよ、と知的興奮のようなものを感じました。
 ひとつだけネタれば、「政治行動」を直接的なものと間接的なものにわけて、非正規雇用に直接的参加が多いという論を展開したことがあげられるでしょう。ひとりの報告者が、「直接的行動」ということばを使ったので、思わずバーダーマインホフ、赤い旅団を思い出し、っていうかフランスのはモロ「直接行動」だし、思わず笑いますた。
 冗談はともかく、「趣味縁」という視点は、青年論ばかりではなく、文化論にも拡大して考えられるだろうし、いろいろな可能性があると思う。もう、アテクシなんかは黙っているしかなくなるのかなぁと思うと複雑でしたが、ちょっとグッとくるものもございましたよ

理論(4)教室 C105
司会者 小川 英司(鹿児島国際大学
1.相互行為論的デュルケム解釈の展開――ゴフマン、ヒルバート、アン・ロールズ――要旨
   首都大学東京 高橋章子
2.ゴフマンの「状況の定義」論の再構成――『フレーム分析』の検討を通して――要旨
   東北大学 木村雅史
3.G.H.ミードにおける「思考」と「自己」――要旨
   東北大学 寺田征也

 午後一は↑。第一報告は遅刻して全部はきけず。第二報告には多層的自己論の展開、状況定義の定義づけ、第三報告には「I」の解釈を刷新する要素をもっていたことが、フロアの質問者の質問で明確化されるも、貢献をビシッと示すのはなぜかしなかった。いきなりきゃんたまをわしづかみに行くようなビシッと股ぐら一本筋通った報告ができたはずだし、ちょっともったいない感じ。ミードののほうなんかは、大村英昭のダブルライフ論や岡本裕介「G.H.ミードの行動主義と『I』の他者性」論などを持ち出して、異同を確認するみたいなことをなんでしなかったのかなぁ、と私ですら思ったんだが・・・。

文化・社会意識(3) 教室 B203
司会者 城戸 秀之(鹿児島大学
1.グローバリゼーションの二重らせん――文化伝播プロセスをいかに分析するか――要旨
   学習院大学 遠藤薫
2.アレグサンダーとアーチャーの文化の位置づけ――文化社会学と文化理論――要旨
   法政大学 野口雅史
3.現代消費社会における意味構成と経済的資源の創出――要旨
   神戸大学 藤岡達磨
4.消費社会の理論の言説論的転回の可能性――要旨
   映画専門大学院大学 貞包英之

 まとめて言えば、循環論法になってしまうようなものに一工夫してみますた・・・みたいなのか、循環論法の文法みたいなのをいずれまとめます・・・みたいなのというか。こっちは、かなりエッジが立っていた部分もあるだろう。