連続テレビ小説『だんだん』

 NHKの連続テレビ小説が最低視聴率だったという、ニュースが耳に入った。何かなぁと思ったら、まなかなが出ているらしい。まなかなと言えば、アテクシらの業界ではちょっと有名で、社会学部に入って、卒論公募とかやって、ずいぶん話題になった。あれからどうなったんだろうと思っていたのだが、ドラマを見たのは別にこの人たちをみるためではない。なぜみたかといえば、京都だけじゃなく松江が舞台で、音楽のことが話題になっていると聞いたからだ。
 しばらく地方文化とは距離をとっていたのだが、卒論で今年は二人そういうことをやるのがいる。一人は沖縄の音楽シーンをする人、もう一人は田舎イメージの誕生みたいなテーマだ。後者は何をするのかと思ったら、「田舎ネタ」をやっているのをとりあえず言説分析するみたいな感じになってきて、面白いことになってきた。U字工事はなわ伊奈かっぺいさいたまんぞう、だよね~・・・。どう仕上がるか楽しみである。で、やはり「地方性」という資源が、ただ利用されるだけなのか、それともそこに一定の「せめぎあい」のようなものがよみとれるのかというのは、あいかわらずの関心としてある。
 で、ドラマだが、非常にさわやかでいいドラマだ。映像もキレイだし。松江と京都という狙いも非常によく分かる。街をみているだけでも、ワクワクする。

■ストーリー
 田島めぐみ、18歳。松江駅前で路上ライブを楽しむ、何よりも歌うことが大好きな高校三年生。一条のぞみ、18歳。京都の花街で舞や唄など芸の道に打ち込む舞妓さん。実はこの二人、産まれてすぐに島根と京都に離れ離れになった双子の姉妹なのです。
 そんな二人が、日本一の縁結びの神様・出雲大社で運命の再会を果たし、この物語はスタートします。
 同じ顔をしているのに、性格や考え方が全然違う双子の姉妹。会えばいつも漫才のような口ゲンカばかりの二人は、めぐみが京都の大学に進学したことをきっかけに、のぞみが暮らす京都花街の屋形(置屋)で一緒に生活するようになります。
 めぐみは、初めて体験する花街の生活やしきたりにカルチャーショックを受けながら、一途に稽古に励むのぞみの姿に大きな感銘を受けます。一方、のぞみは、めぐみの自由な生き方に影響を受けて、花街を飛び出します。
 これまでも一緒に歌を楽しんでいた二人でしたが、のぞみが舞妓をやめたことで本格的に音楽活動に力を入れるようになります。そして、息の合ったハーモニーで聴く者を魅了しながら、デュエット歌手としてプロデビューを果たします。
 めぐみとのぞみは一緒に歌うことで、双子であることの喜びを味わい、姉妹の絆を深めていきます。時にライバルとして競い合い、時に力を合わせて試練を乗り越えながら、スター街道を駆け上がっていきます。CDは記録的な大ヒット。テレビにも引っ張りだこ。二人は大きな喝采と光り輝くスポットライトを浴びます。
 しかし、二人は歌手活動を経験するなかで、本当にやりたいことをそれぞれ見つけ、人気の絶頂期に解散を決意します。そして、それぞれのふるさと島根と京都花街で、新しい人生への一歩を踏み出していきます。しっかりと結ばれた姉妹の絆を胸に抱いて――。


 いじめ、格差社会、戦争…。"断絶"や"孤立"が生み出す問題があふれる現代社会――。
 数奇な運命を背負いながらも、姉妹二人で歌手を目指し、絆を深め、明るくたくましく生きていく双子の成長物語を通じて、人と人との出会いと縁、そして、共に生きていくことの尊さを伝えていきます。


 「だんだん」は、島根県の出雲言葉で「ありがとう」の意味です。
 「産んでくれてありがとう」「育ててくれてありがとう」「あなたに出会えてありがとう」そんな感謝の気持ちを込めて、このタイトルを付けました。


【脚本執筆にあたって】 森脇京子
 その時、私は京都の四条河原町にある某デパートの地下食料品売り場で、娘のお土産にチョコレートを買おうとしていた。可愛い袋にリボンを掛けて様々な種類が並んでいる。一袋なら380円、三袋まとめ買いすれば1000円。いくらお得か、ここはきちんと計算する。ふーん・・即決するほどの割安感でもない。しかし・・と、逡巡している私の前で、店員さんの目は早く決めてよと威圧感を増していく。はいはい、分かりましたよ、じゃあ一袋・・と言いかけた瞬間、携帯が鳴った。朝ドラの脚本を書かせて頂ける、という連絡だった。携帯を仕舞うと、私は晴れ晴れとした声で言った。「三つ、下さい!」・・
 ごく普通の日常に、悲喜こもごものドラマがある。半年に渡ってお茶の間にお邪魔する朝ドラだからこそ、暮らしの中から溢れ出るような物語を紡いでいきたい。


【制作にあたって】 制作統括 青木信也チーフ・プロデューサー
 私たちは、一生のうちに、数え切れないほど多くの出会いを重ね、縁を結んでいきます。そのひとつひとつは、実はとても奇跡的な出来事であり、かけがえのないものなのです。今回のドラマは、双子姉妹の運命的な再会がきっかけとなって姉妹の"固い絆"が生まれ、さらに、家族やふるさとの"人の輪"へと広がっていく『縁結びの物語』です。ヒロインを演じるマナカナ姉妹の息の合ったやり取りやハーモニーを楽しみながら、日頃忘れがちな、人と人との出会いや縁に対する感謝の気持ちをもう一度思い出していただけたら幸いです。そして、身のまわりの人に、思わず「だんだん!」と言いたくなるような気持ちになっていただけたら最高です。
http://www3.nhk.or.jp/drama/html_news_dandan.html

 今日見て一番印象に残った一言は、「今音楽業界はインディーズの時代になって、全国でスカウト合戦だ」というもの。NHKの「バブル美術館」という番組で、日本の倉庫で担保として眠っている美術品(バブルの時に買いあさって、その後値が下がりまくって塩漬け状態なのとか)のうち、いいものだけを欧米の画商が日本に売りつけたときの何分の一かで値切って買っていくというのを、チェリーピッキングというみたいなことを言っていた。だいぶ状況は違うが、スカウト合戦もチェリーピッキングなんだろうね。動員利用しているという面だけを、クールに指摘する人もいるが、そうでないものもあることは、たとえば浜田真理子をみてもわかるだろう。これも島根だよね。そんなことを考えて、このドラマを見るとグッと来るものがある。人が見ないから、といって見始めたのだが、明日から録画して、ずっとみようと思っている。