水泳自由形

 オリンピックも半分以上終わってしまった。水泳競技が終わってしまうとなんとなく憂鬱な気分になる。中学、高校と、かなり憂鬱な精神状態で、かつ神経症でもあったわけだが、札幌オリンピックの真っ白な映像とジャンプ競技ミュンヘンオリンピックのブルーノ水泳映像は、かなりの安定した時間を与えてくれた。その後も心神の状態は、長いことずいぶん悪かったわけだが、オリンピックのプールの映像を見るとホッとした気分になる。ハイテク水着の大会で、記録が連発された。
 なかでもぶっ飛んだのは、レベッカ・アドリントンの女性競泳800メートル自由形だ。一番古い世界記録を塗り替えた。この競技は日本の選手も強いので、時々みていた。これまでも、途中まで・・・というのは、ないではなかったのだが、エヴァンズは最後がすんずられないほどのペースだったので、やっぱだめか、みたいに思うことが、何回かあった。それが、あっさり刷新してしまった。エヴァンズのラストスパートは馬路すごかった。まあいってみれば、今回の五輪の自由形リレーアメリカチームアンカーの最終泳者ラスト50メートルみたいなかんじ。世界記録の試合たしか、日本でやってたんだよね。世界水泳だか、なんだか忘れたけど、なんかの大会だよ。
 サクッと記録が破られて、正直ちょっと残念な気もした。二度と破られないと言われたビーモンの走り幅跳びの世界記録をリアルで見た人間には、あの記録が塗り替えられたときなんとなく残念な気がした。それといっしょ。そして、エヴァンズは、たしか私より身長がない。泳ぎ方もなめらかとかゆうのとは、ほど遠いワイルドにぶんぶんいくパワフルな泳ぎだったことは、記憶に新しい。でもなんか人気があって、プールとかでガキがけっこう真似してたりしたんだよね。
 当時は、私と同世代のババショフが東ドイツに率直発言したころほどではないにしても、ドーピングはあったろうし、マキシマム・ザ、なんちゃらとかも同様だろうし、そのちょっと前までは人体改造とかまでやってんぢゃね?みたいなのがけっこういて、某国では尻から空気を入れて浮力を出していたとか、人間の手に水かきをつける研究がされているとか、噂になっていた。でも、エヴァンズだけは、ガチだと思っていた。これは私の印象だけではなく、多くの人にそう思われていたと思う。がっつりしたかんじではなかった。でも、圧倒的な存在感があって、そういうのとはまったく違うところでやっていることは伝わってきていた。
 そんなことを考えながら、水泳を見ていた。最後までみて、一番印象に残っているのは、メドレーリレーでメダルをとった後の佐藤久佳の表情だ。自由形短距離という「人種的に無理」とまで言われている種目に挑戦し、工夫を重ね、日本人としてはじめて「越えられない壁」を超えて、記録を伸ばした。パイオニアとして、大きく評価されるべき選手だと思う。いろいろ考えることもあったはずだが、短距離に踏みとどまり、工夫を重ねた。ジャイアント馬場級の身長の椰子らが、パワフルにぐいぐい逝きますみたいな世界では、ひときわ小柄に見える。個人競技では、スンマソン状態で、爆(´・ω・`)ショボーンだったと思うのだが、リレーでは力を出した感じに見えた。タイムは見てないけど。というのは、途中までktkrと思っていても、自由形はしおしおのぱーであることは何度か見たことがあるし、勝ったにしても、鬼やばい逃げろ逃げろみたいは、 (;´Д`)ハァハァ感がつきまとっていたと思う。今回は、危なげなくメダルを確保したように見えた。次はどうするんだろう。このまま研鑽を積みつつできるメダル可能種目を兼ねることもできるはずなのだが。