鼠先輩

 2ちゃんのニュースに『女生徒に「3回まわってワンと言え」 セクハラ教諭が100万円支払う』というのがあった。これもセクハラになるのかと驚いたが、よく読んだら下着姿にさせて抱きしめたというのがあるらしい。今でもすごい人がいるんだなぁ。昔はけっこうこういう人いたけど、というか、私はやった覚えがあるよ。3回まわってワン。やらせたんじゃなく、学童としてやらされたの。で、「ワンワン!」と何回かバウバウしたら、ざけんじゃねぇとかいって、ケツを蹴り上げられた。あんなの今だったらたいへんな騒ぎだよな。あの先生の「さわやか」?なところは、上機嫌の時「オレなんか殴るときとか、愛なんか込めてねぇよ。馬路むかついてぶん殴ってるし」とか豪語していたことで、まったくすごい時代だったと思う。私はそのまんまと同じ年齢で、まあその頃の日本はそういう時代だったということだ。首都圏でもそんな具合で、うちの近くの中学校は全員坊主が校則だった。宮崎県はもっとガチだったかも知れないのであるよ。
 ショーパンはショートパンツをはいているということをしらないでバカにされた。そのショーパンに鼠先輩というわけがわかんねぇやつが出ていた。街にいけばぽっぽっぽ。って、そんなに有名だったのか??と驚いて、ググったら、ジェロを抜いてオリコン演歌チャート一位になったらしい。岡山県赤磐市出身。ムード歌謡歌手。元AV監督。なにそれ。岡山とは思えない軽さ。鬼パンチ。白スーツ。ぽっぽっぽダンス。あげあげのほうは、まあいいとして、さげさげのほうはただのヒゲダンスじゃんかよ。まあしかし、教室でガキが関係ねぇ、Wiiから、ぐー、でもって、なんでもかんでもあほになり、今度はぽっぽっっぽかよ。みたいな。いかにも安っぽい一発芸人チックではあるのだが、鼠先輩という芸名は実に卓抜なものがあると思われる。
 今日は概論と四年ゼミ。で、ゆっくり録画してあった番組のチェックでもしようかと思ったら、けっこういろいろ仕事があり、見られずじまい。ちょっとみたのが、コンバットの録画で、な、なんと、三須友博が植田辰哉をやっていたので、思わずktkrとシャウトしてしまった。実に似ているよな。アキバ仕様のギャグ番組で、パニパニしていたのはよいのだけれども、あの事件があって、さすがに自粛すべきネタもあるんだろうね。崩御の際のお元気デスカァ、や、震災の際の風呂はサイコーみたいなことになるわけだし。不謹慎なことは、今では許されない。不謹慎な時代を生きた人間なら、いくつかの替え歌が思い浮かぶはずだ。しかし、たとえばあきばのほこてんどおりでないふさしなすなどと剣の舞いをやったら、深夜とはいえ、怒ひんしゅくだろうし。公然なんちゃらでつかまった女性アイドルも、たとえば少年ナイフのレッツナイフとかを、路上ゲリラライブとかしたら、さすがにもうおしまいだろう。いくらかの前衛作家が鬼すごい人だからといって、暴力温泉芸者復活路上ライブとかはできないだろうし。そんなありきたりの趣味の悪いおふざけを面白いと言ってもらえた時代は、はるか昔なのである。
 それにしても、顔顔顔顔、彼女がいれば彼女がいれば彼女がいれば、というリリシズムは、あまりに突出した表現力であり、修行するぞ修行するぞ修行するぞ、なんてぇのを思い出したりもした。しつこく残響するところは、スタイルは違うものの、マラソンの円谷選手が遺した「おいしゅうございました」の哀調をすら彷彿させると言えなくもない。
 『週刊文春』を読んでいたら、佐藤優が現代の『罪と罰』と言っていたのは、なかなか言い得て妙だと思った。「おまいらの幸福は、おまいらの不幸をぜぇ〜んぶおいらが背負っているからなのさ」みたいな殺意を指摘しているわけだ。秒殺とも言えるプロ並みの行為となって炸裂した感情は、すさまじいものだ。もう一人の著名な医療少年院のお医者さんは、いつもながらの鮮やかなまでの論調である。