おせん4:化調風味の伝統美

 アニソンで一番カラオケで歌われている曲はタッチなんだそうだ。アテクシが主唱し、地方局のテレビにも出演したというあの伝説の岡山大学カラオケ研究会においても、タッチタッチそこにタッチ♪というのは、よく歌われていた。当時はセクハラということばが出だした頃で、これって究極のセクハラソングになるんじゃね?みたいに、エアセクハラ??的なフリをつけて歌って、「やばいよね」みたいな感じ。似たような歌はいっぱいあり、アニソンだとドラエモンがそうですね。あと、松山千春の「旅立ち」とかも若干変えたり、あるいはメンツの名前によっては悪魔のような歌になるのであった。そういえば、「さざんかの宿」に「奥さぁ〜んご主人には内緒ですよ」とかセリフつけて歌うのがいたなぁなどと、遠い目。
 閑話休題おせん録画を昼休みにみる。『週刊文春』の記事がついつい頭をよぎってしまい、頑固一徹料亭のドラマの間に「本だし」のCFがいきなり入るともうktkr状態で笑ってしまう。しかも、職人が仕込みまくった出汁が決め手とかあると、『夏子の酒』で、コピーライター時代の主人公が日本酒のコピーに懊悩するのを思い出したりもした。まあただ、あらゆる出汁は人工的に再現できるという話もあり、スーパーグルコなんちゃらみたいなのがあるというのは、ラーメン板でみたりもした。
 誤解がないようにゆっておけば、アテクシは化学調味料ダメダメ君ではない。マイソウルフードのタンメンなどは、名人芸のような豚骨透明スープに魔術のようなスープダレをいれながらも、玉じゃくしでジャリッと化調すくってぶちこんでいた。だいたいにおいて、コンソメクラスの出汁とるんだったら、いっぱい2000円くらいになるだろうという話もあるわけだし。というより、私らは、味の素を喰うと頭がよくなると言われて育ったんだよな。「たぁ〜んとおかけ」とかゆわれて、漬け物とかにじゃりじゃりするくらいぶっかけて、歯ごたえを楽しんだものだ。あるいは、お餅を食うときの醤油に溶かし込み、さらにそこに七味を入れて、舌がヒリヒリするくらいのやつをたぁ〜んとつけて、餅をほおばったものだ。おかずがないときは、アジシオをメシにかけて喰ったしね。悪いかよゴルァという感じ。
 しかし、お茶のCFでもっくんがやってるみたいにして、職人的なものというイメージづくりをしているという面はあるんだろうけど、ああゆうCFがはいることで、ドラマに奥行きがでているような気もする。みていると、思い出すのは『アメリ』だったりするわけです。鬼マニュアル映像仕立てなのに、メッチャCF描きまくり、みたいな映像の趣向があって、だからこそ、杉本哲太頑固一徹も妙にリアルなものに見えてきたりもする。ちょうど衣装の類も、妙に味わい深いものとして躍動しているようにも見える。第四回のドラマでは、入浴シーンがなくなり、そして、長い髪だらりもなくなった。
 ものすごくオーソドックスっぽい脚本が印象的である。キレイに図式的に整理が行き届き、「すきやき」というモチーフが最初に明示されることで、謎かけふうに主題提示がなされ、小気味よく図式が展開してゆく。ちょっとむずかしいシーンには、ちゃんと説明的なセリフがついているんだが、場面を変えるなり、カメラワークを工夫するなりして、ちゃんと臭みを抜いてある。字幕の字数が制限され、ギャグのウケどころに字幕がつく時代にふさわしく、実に配慮が行き届いていて、わかりやすい作り方になっているように思った。視聴率はちょっと上がったが、まだ一桁みたいだけど、今のところみるのをやめようとはさらさら思わない。