トレンドとしての地方

 すこしまえの情熱大陸で、自分ブランドのバックをバングラデシュの工場で作って売るという実業を起こして、成功した女性のことをとりあげていた。まだ若いのだが、溌剌と仕事をしている。シビアに交渉し、仕事をこなしてゆく。番組の最後で、現地の人でこの人の右腕とも言うべき人にインタビューしていた。なぜ彼女に協力するのか?援助などをしてくれる人と違い、彼女はビジネスの相手として対等に見てくれるからだ、とその人は答えていた。まあ、TBSっぽくはあるものの、表現されていた信頼感は、ホンモノだと思うし、一定の普遍性はあるだろう。しかし、それにしても、社会科学的に見るといろいろ考えさせられるところは残る。成功させ、報酬を与え、しっかり回収する。ハリウッドしかり、日本しかり、東京しかり。問題は、草木も生えない焼き畑的なやり口であるか、あるいはまた別様の相互協力があるかだというのが、私がなじんできた学問が立つべきたち位置なんだろうとは思う。
 『サブカルチャー社会学』という本で、地方の文化を論じたときに、長谷正人さんは利用されている地方というようなことを指摘し、批判的に書評を書いてくださった。遠藤薫さんは、オルタナティブみたいなことは、「自由だぁあああ」というわけでもなく、ちょっとした消費のトレンドにすぎないのかもしれない、というような指摘をしていた。マイナーチューンの文化みたいなものは、まあ、ちょっと違うトレンドだということで。ふぅん、そうカァ、などと考えていたところ、やふうのにゅーすに、トレンドとしての地方という記事が載った。

音楽シーンを象徴するキーワードは“地方”!? その傾向にせまる



 数年前からの沖縄発信のムーブメントはいうにおよばず、ここ2〜3年はMONKEY MAJIKが仙台在住のまま全国区の活動を展開するなど、地方発信型アーティストの活躍が目立つ。地元密着ともいえるこの傾向を、この時期リリースがあるアーティストを挙げて確かめてみたい。


東北から奄美まで各地域に根ざした活動を
●タカチャ……青森の八戸市大使を務める郷土愛


 ACOをフィーチャリングボーカルに迎えたニューシングル『ナミダ』が好評なタカチャ。日本において、アコースティックな新しい音楽として消化されたレゲエともいうべき素朴さと洗練が共存する音楽を作る彼は、現在在住ではないものの、青森県八戸市出身。“I LOVE 八戸”Tシャツを自身のグッズにしたり、メジャー・ファーストアルバムのタイトルが『I■田舎』だったり、配信シングル『アリガト』では冒頭から“八戸”というワードが登場するなど、彼にとって郷土愛はごく普通の表現らしい。世界中が均一にならされていくような今の時代にあって、東北出身の自分をごく自然に音楽に落とし込むタカチャのあり方は、ストレートで小気味いい。


SEAMO……名古屋の“塾長”は、今も在住


 全国区でブレイクしたあと、去年は念願だった東海地方発信のフェス“TOKAI SUMMIT”を開催したSEAMOは、仲間意識を大事にする名古屋のヒップホップシーンのなかでも際立った地元密着型アーティストといえるだろう。実は今も名古屋在住で、インディーズ時代から現在まで若手をフックアップするクラブイベントを定期的に行っている。5月7日には母への気持ちを込めた彼のウォーミーサイドともいえるシングル『MOTHER』をリリース。今後も、自分が暮らす街から吸収した感覚を生かした作品をドロップし続けてくれそうだ。


●中孝介……奄美からアジア、そして世界へ


 大学時代に沖縄に住んだ以外は、ずっと奄美大島在住の中孝介。4月9日リリースの最新シングル『春』に感じられる、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない人への深い惜別の思いは、奄美という土地に住む人ならではの感覚だろう。今やアジアでも評価される彼だが、この3月末には地元でライブを開催。歌の本質を見つめることになった島唄との出合いを自らのアイデンティティーとする中孝介が、奄美から世界へ向けて新しい歌を発信するのは、なんとも今っぽい。


●九州男……長崎男のマイペースっぷり


 長崎出身のJ-レゲエシンガー九州男。今年2月のデビューシングル『6000000000feat.C&K』が大ヒットし、その名前を全国にとどろかせた。インディーズ時代のアルバムタイトル『こいが俺ですばい』『こいも俺ですばい』にも表れているように郷土に対する思いは強い。九州男児らしく、飾らない自分の言葉でつづられたリリックに共感する若者は多い。今年は九州での大型イベント出演も決定しているとのことで、等身大の九州男を確かめてみたい。


キマグレン……逗子在住。海と音楽と地方都市の現実


湘南・逗子海岸にある海の家ライブハウス“音霊”の経営とミュージシャン活動の二足のわらじをはくキマグレン。ジャンルの枠にとらわれない彼らが、5月14日にリリースするニューシングル『LIFE』は、運営している海の家“音霊”で出会った若者たちに元気や夢がない現実を目の当たりにし、“元気を出して行こうぜ!”と応援する気持ちから生まれたナンバー。地元の逗子を愛し、自然を愛する彼らだから、海のクリーン活動などエコ活動も精力的に行っている。地元密着ならではといえそうだ。音楽性もやはり海とともに生活するライフスタイルが生きたもの。そんなリアリティーも新しい。


●Hi-Fi CAMP……仙台発信の新世代グループ


 MONKEY MAJIKGReeeeNらを輩出した音楽事務所エドワードリミテッド”が仙台から送り出す新人アーティスト、Hi-Fi CAMP 。6月4日リリースのデビューシングル『キズナ』が映画「僕の彼女はサイボーグ」の挿入歌に起用されるなど、すでに話題となっている。2ボーカル、キーボード、DJという珍しいスタイルだが、サウンド有機的。ロックやヒップホップに加え、ハウスやファンクなどダンスミュージックの要素も感じさせるフレッシュな音楽性が魅力だ。メンバーは今後も仙台に住み続けるようで、その最も大きな理由は「自分が暮らしやすい地だからこそ、表現したい音楽ができる」という。仙台の新世代として注目して損はない。


 今や上京しなくてもプロとしてミュージシャンを続けることは可能なのだと彼らの活躍は証明している。今回、ここに挙げたアーティストは氷山の一角。自分の生まれ育った街を大切に、マイペースで活動する傾向は今後も強まりそうな予感だ。もしかしたら、あなたの街にも未来のブレイク候補がいるかもしれない。
(文 / 石角友香)
http://magazine.music.yahoo.co.jp/rep/20080414_001/

 私が調査したことは、地方の少年を描いている大木裕之や、地方で映画を撮っている河瀬直美などの活動と呼応し、地方で映画を観て、語る活動をしている人たちのことで、そのことの帯びる社会性や、そこで生み出されている関係性や、その背後にある規範としての文化などをとりあえず記述してみることだった。その地点から見ると、トレンディな文言には違和感を感じる。それを突きつめることは、自分が背負ってゆくべき責任だろうと思っている。
 閑話休題。ジョーデキ!POP屋。また見た。有村昆がやった空耳映画というか、映画のなかの空耳コーナーが面白かった。エディット・ピアフ「あの、すいませ〜ん」。大阪のおばちゃんみたいでワロタ。シーンもあっている。映画『ターミナル』。「そりゃ、そりゃ納得いかんのぉ」。これも関西のおっちゃん。新喜劇みたいなの。シーンも。どうも、KOKIAとか、アニソンのことばみたいらしいね。マジ日本語だったら笑えるが、レディオヘッドぢゃねぇしな。他にはブラザー・コーンの21世紀で業界用語など。コーンは、普段からこういうひとだっつぅんだが、まじかよ。キンスドクヘ。鬼ひっくり返しまくり。ある意味KOKIA=AKIKO系。田中といい、POPといい、非常にぐだぐだだが、ようやくというか、それぞれのキャラ決めみたいなのがはじまりだしている。