東京女子大学が新学部新体制へ

 3.24にUIオペレーション始動してから、この日記にもいろいろな情報をアップしています。そもそもブログをはじめたのは、卒業生たちに近況を伝え、あるいはまた在学生たちには授業の補助的な位置づけとなるような場を提供するということだったように思いますので、大学の近況というのはそれなりの意味があるでしょう。で、いよいよ本日大学のホームページに「2009年度「現代教養学部」新設のお知らせ(2008年4月に文部科学省届出予定)、2009年4月新編成の学部学科でスタート」という記事がアップされました。

 東京女子大学では、多様化、グローバル化の進む21世紀の社会において、本学の「リベラル・アーツ女子教育」に寄せられる信頼と期待に充分に答えるためには、教学体制の大幅な改革を行うことが必要と判断し、長い時間をかけて検討を重ねてきました。


 2008年4月下旬に文部科学省に、文理学部現代文化学部を統合・再編し、新学部「現代教養学部」を2009年度より設置するための届出を提出することとなりましたので、お知らせいたします。
http://office.twcu.ac.jp/o-board/official/news080325.html

 というのが告知の内容です。随分と長い時間をかけ、みんなで討論してきたことで、いろいろな意見もありましたが、このようなかたちで結実したのは、責任者や担当者の方々のご苦労があってのことで、お疲れ様でした、と申し上げたいと思います。端的に言えば、「一学部化」ということでありますが、次のような説明があります。

「現代教養学部」の概要

文理学部現代文化学部の2学部を統合し、現代教養学部を設置します。
2 現代教養学部には、現在の文理学部現代文化学部の10学科を再編統合し、人文学科、国際社会学科、人間科学科、数理科学科の4学科を設けます。
3 上記4学科は、基本的に現行の10学科を継承して設けられる12の専攻によって構成されます。

 いわゆる哲史文の学科が人文学科、社会科学系が国際社会学科、心理学系と言語科学が人間科学科、理系が数理科学という編成であります。図を見ると、哲学、文学、歴史学、国際関係、経済学、社会学、心理学、コミュニケーション、言語科学、情報科学、数学と、なかなかなめらかな円環を形成していることに気づきます。これまでの教養学の枠組を伝統として堅持しながらも、新しい枠組のなかで切磋琢磨するということになるのでしょう。
 社会科学系の国際社会学科は、現代文化学部の地域文化学科と社会学科があわさったもので、地域が国際関係、経済と社会が別の専攻に分かれ、入試も三つの専攻に分かれて行われることになるはずです。国際関係には、政治学文化人類学、国際関係学、現代史などの専門家がいるので、社会学、経済学をあわせると、ディッシプリン的にも柱がそれなりに体系的になっています。他方で、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、アジア、そして日本など、地域別にもバラエティがありますし、それぞれのスタッフはそこで社会問題や政策について考察しているわけで、そういう軸でこの学科をながめることもできるでしょう。ともあれ、いろいろな学びの意欲の受け皿になりうるのではないでしょうか。
 社会学で入学した人は、社会学の体系的な勉学を行うことはもちろんですが、経済学・経営学、国際関係などの科目を自分の専攻の科目としてとることができます。一つ二つ他のをとれるというのとは大違いでしょう。また、経済や国際関係で入学した人も、社会調査士をとれるようにもしました。副専攻やキャリアイングリッシュなどは、従来通り存在しますし、これはこれで楽しみのある枠組であると考えます。
 どのような教養学が展開されてゆくのでしょうか。
 閑話休題。思いだしたことを一つ話しておく。大学に合格が決まったときに、好きな本を好きなだけ読み、成果を文章にまとめるというような勉強に漠然とあこがれていた。受験のために読んだ新書のなかに『論文の書き方』という清水幾太郎の本があり、向学心を煽るようなことをたくさん書いてあった。その一つに社会学雑記というノートをつけていたという話があった。まったく同じノートをはじめるのは、ためらわれた。同じく受験のために読んだ高島善哉の『社会科学入門』という本にも魅力を感じていた。そこで、社会科学雑記というノートをつけはじめた。
 読んだ本の抜き書きをしたり、そこにコメントを加えたり、想がまとまると文章化したり、あるいはまたレジュメ的なものをつくったりなど。そういう文章書きの習慣は、今日に至るまで続いている。日によって違うが、ブログに書く何倍かのことを、文章にしてノートしている。文章化するというのは、ごまかしがきかない。自分の読みと向かい合い、理解の程度を思い知ることも多い。なによりなにかを書くときのネタ帳にもなる。これが私の基本的な勉強スタイルである。大学に合格したときの向学心、向上心というのは、本当に重要だと思う。
 大学というのは、ステイタスシンボルであり、ブランド商品であり、というような側面があることは否定はしない。そして、それをゲットする受験学力(知力、体力、自己管理能力)などが、社会において一定の商品価値をもっていることもたしかだろう。しかし、それだけではないということを伝えられるような場を創って行きたいと思っている。