東京女子大学巨大ポスターが新宿駅他に

 今の大学に赴任して、在学生や卒業生の人たちの話を聞いていて、あまり大学の教育研究などについてあまり他には話さないとか、あるいはまた卒業してからも同窓生どおしまとまったりしないとか、そういう空気を感じ、それがまた忘年会や新年会なども一切せず、大学に来たからといって談話室に行かないからといって居心地が悪いというわけでもなく、会釈をしたりする以外はもう一ヶ月以上同僚と話していないなぁ、などということもしばしばな職場の雰囲気とも共通するものであり、独特の味わいとして、そして居心地の良さとして、すっかりハビトゥスになっている。
 この味わいを他に伝えるのは至難の業で、身近に卒業生の人とかがいて、そこから感じ取られるものしか意味がないのかもしれないと思う。しかし、前から言っているように、授業期間中の平日に大学来て、授業の様子を見たり、お昼に学食で御飯を食べ足り、あるいは放課後の課外活動や、登下校の風景をみることで、感じていただけるものはあるのではないかと思っている。竹内洋が崩壊を嘆じている教養主義とはまた趣を異にするが、独特の教養原理主義のようなものが、この大学にはある。
 それでも、今日では、それなりのキャッチコピーをつくったり、受験産業的な語彙とのおりあいをつけながら、広報をしないとなんともにんともな時代になっている。いろいろな人々の努力が実ってか、志望者や受験者も増えてきているようであるし、また、入学手続きも順調であるようだ。あまり入学しすぎると、それはそれでペナルティがあるわけなんだけれども。
 ともかく、創立90年を前にして、女子大新時代のための画期の年にするべく、一大キャンペーンが明日からはじまるのである。今までは、ほとんど電車のなかの広告もなかったに等しいのだが、新宿、渋谷、池袋、東京、横浜の各駅に、どでかポスターが貼られるということが、大学のホームページにありました。「本学のリベラル・アーツ教育の理念を凝縮した「『ひとり』を育てる、いくつもの知がある」等の標語を配置したポスターを、3月24日(月)〜4月1日(火)の間にJRの主要5駅に掲出します(掲出期間は場所により異なります)。」、ということです。駅のどこに貼られるかは、下記をご覧下さい。
http://office.twcu.ac.jp/o-board/official/news080317.html
この他にホームページでは、特設サイトが開設されるようです。『3月24日(月)から公式ホームページ内に「スペシャルサイト」をオープン。Flashムービーや画像を使って、「一人ひとりを大切にする教育」、「教育環境」、「歴史」を紹介します。オリジナルの壁紙やスクリーンセーバーなどもダウンロードできます。』もう一つは、ブックカバーの配布もあるようです。『4月より東京女子大学のオリジナルブックカバーを書店(三省堂文教堂の一部店舗等)や学内に設置します。』これは在学生はもらいに行っちゃだめだよね。学校でくれるんじゃないかと思うし。

公式サイト:http://www.twcu.ac.jp/

 ミルキャンの大学のBBSをみて、ちょっと笑ってしまったことがあるのだが、うちの大学の入試問題のモチーフは「自分のことばで考える」ということであり、大学の教育もそういう立場で行われていて、そこに在学生の人もプライドをもっているようなのだ。偏差値にかかわらず、そこをクリアすれば入学できる(逆も真なり)と言い切っているのは、なかなか頼もしかった。
 卒論を指導しても思うのだが、やはりそういうところに教育のポイントはあるのかなぁと思う。これは、教養の原義とも呼応するだろう。英語力、日本語力、論理的思考力、歴史的洞察力、応用的問題解決力などを養うカリキュラムをこなして、学生たちは卒論に臨んでいる。そのためのE−ラーニングなどの方法も充実してきている。入試的なモチベーションとこれを直結させ、インターフェイスとなるようなシステムができるとよいとは思うが、まあ、労力がかかりすぎるかなぁと思います。