東京ララバイ

 新居昭乃のライブがあるというので券を買おうかと思ったら、抽選であった。会場が、グローリア・チャペルキリスト品川教会ということでしかたのないところ、というか、あたったら鬼ハアトな会場だよな。新曲リリースということで、個人的にけっこうすきな「ベルデセルバ戦記」主題歌であるとか、「凍る砂」であるとか、「ガレキの楽園」であるとかをすべてやるとは思えないわけであるけど、前にライブに行ったのは渋谷のHMVの「鉱石ラジオ」お披露目みたいなときで、それはそれでよかったわけで、あたるかどうかワクワクなのである。マブファンはいくつも申し込むんだろうが、私はこういう場合は一つしか申し込まない。まあしかし、上野洋子があたったからといって、新居昭乃があたるとはかぎらないとは覚悟している。
 用事を済ませて、横浜に帰ってきた。するとレコード大賞をやっていた。まあさすがに金賞の歌手は知っているけど、新人賞なんかはもうわけわかめだ。つんこちゃんPのやつが最優秀になっていたけど、子供さんたちが九時以降で引き上げるところを狙ってインタビューに逝ったことが、またもやエンタのカメ様かよみたいなことで、抗議が行くかもしれないなぁなどと思った。
 番組自体は、やはり中高年狙いなのか、はたまたメモリアルなのかわからんけど、懐かしの映像がたくさん流れていたのは、これをみる人にはけっこうツボだったんじゃないかな。マッチや少年隊のヘアスタイルに時代を感じたりしたわけなんだが、一番ぶっ飛んだのは、中原理恵の「東京ララバイ」でごんす。「東京ララバイ 地下がある ビルがある」。80年代にきいたときには、「午前3時の東京湾(ベイ)は・・・」という歌詞に、なんとなく上京ソングだよなと思っていたのだが、「地下がある ビルがある」には気づいていなかった。国立にあったミルキーウェイという弾き語りのお店で、へべれけに酔っぱらって、「Wii」と弾き語りのねえちゃんに絡んで、「東京ララバイやっちくれや」とゆい、「うちはおしゃれな曲しかしないんです」と拒絶され、「WiiWii・・・」と大騒ぎして、店をつまみ出されそうになったことを思い出したりもした。
 レコード大賞は誰が取るかというのは、ちょっと関心があった。Exileはヒット連発だし、倖田、大塚、あとたった一つのミリオンヒット千の風とか、誰が金賞だかわからんこともあるわけだけど、今年は若干の関心を持っていたのである。でもって、見ていたら、なんとレコード大賞コブクロ。うちの親が言っていたことが笑えた。「なんだこのマニアックな中華料理みたいなやつらは」「つーか、焼き肉ぢゃね」、つーかこの老人たちは実に健啖家であることがわかろうというものである。ただし、「クロ」というホルモン用語があることは、知らないようであった。
 しかし、まさかと思ったね。ストリート・ミュージシャンあがりというか、いろんなジョイントをしたりして、一つのシーンを創り出している感のあったのコブクロレコード大賞をとってしまったというのは、しかも出てきただけではなく、感激っぽくしているというのは、私にとってはちょっと複雑な心境なのであるけれども、それはかなりアナクロなのかもしれないし、やはり『グローバル化と文化変容』にあるような「トリクルアップ」が、今時の音楽のトレンドなのかもしれないんだわな。
 そろそろイカ天でもみようかと思うのだが、よく考えてみると、TBSのこの時間の刻み方は、ボクらの年代にはなかなかわかっていても回避しがたいものがある。毎週、私の部屋に学生たちが参集してぎゃあぎゃあ言いながら見たのを思い出す。