ワイド劇場の意気地

 昔のドラマ、たとえば手軽にみられるところで言えば、田宮二郎の『白い巨塔』なんかをみると、電光掲示板ニュースとか小指たった映像、と言って悪ければ遊び心wもあるにはあるが、太地喜和子じゃなんじゃかんじゃと名優満漢全席みたいなかんじで、非常にオーソドックスなつくりになっている。俗情紋切りに覚悟を決め、そのなかで粋を尽くす職人芸は、実に感動的なものがある。対して、昨今のドラマはと言えば、というか多くの映画もそうじゃないかと暴言を吐きたくなるわけだが、穴埋めみたいなフォーマットをつくってコントみたいなシリーズを量産するか、はたまたやたらシュタシュタ映像をエクスペリメンタルにして、みにくいったらありゃしない、こんなんならさ、ご当地ものサスペンスドラマのほうがずっとすごくねぇかと思っていたということは、前にも書いたとおりであるわけです。
 でもって、たけしが主演ということで話題の『点と線』がいよいよ放映ということで、何を期待したかといえば、もしかすると土曜ワイド劇場の意気地のようなものがみられるんじゃないかということだった。限られた予算、俗情紋切り悪いかよ、制作の糞みたいなこだわりはいらねぇんだよ、露天風呂入浴だとか、ご当地風景満喫だとか、崖の上のラストとか、そういうお約束守ってこそ視聴率とれるんだよ、みたいな、エンタの何様ならぬ、ドラマの何様なご託宣のなかで、職人芸の粋を尽くし、消費去れ忘れ去られる作品を毎度つくる人々が、オレたちだってなぁ、オレたちだって・・・と、名優満漢全席、予算たっぷり、主演は世界の北野で・・・つぅことじゃないかと思ったわけです。時代背景は昭和で、職人肌の刑事が・・・と、ぢぢいばばあ垂涎の映像を連発すると同時に、特命係長と肉山共演でストーリーもちょっと踊る・・・な図式パクっちゃいますたみたいなことで、社会派もへったくれもない、家族みんなで楽しめる娯楽作品でございますというような、営業垂涎のもみ手仕様も随伴し、さてどうなるかっつぅことなわけですが。
 で、まあ、いきなりネタバレかよ!みたいな出だしにぶっ飛ぶ。もっとも有名なネタをジャジャジャジャ〜〜〜ん♪とまずはかまして、しかしその実そこが一番マニア垂涎かもしれませんぜ、どう料理するかみてみませんか?などと語りかけているようにもみえる。そこから、非常に工夫された見せ方で、ザッピングな人々を釘付けにしながら、さまざまな趣向が繰り出されるっていう仕掛け、ちょっとうんちくなぢぢいたちが、お茶の間でアリバイ崩しとか理屈こねるもよし。今日はザックリ問題のアリバイ提示、そして明日がアリバイ崩しというわかりやすさは、休養の連休にはとてもよい。しかし、こっちは卒論の添削をしないといけないのですよ。これが。
 どうでもいい話だけど、地デジになったらさ、こういうのみながらリアルでニコニコ動画したいけど、2ちゃんの実況すらわけわかめなのに、画面が字だらけになったらどうしようもねぇわな。
 配役が、赤カブと家政婦はみたがでているからさ、もう東映お正月映画みたいに土曜ワイド劇場主演そろい踏みという趣向かと思ったんだけど、そうでもないのな。まあ、東映のお正月映画というのは、テレビのお正月番組と同じくらいどうでもいいものが多いわけだけど、ある意味めちゃくちゃ力業な設定と配役、展開で、あまりといえばあまりにパンクだぜと、子供心に思った、わけねぇだろ。w 問題は明日なのである。ちょうど帰路につく時間に放映なのである。録画予約下か、忙しくて忘れている。エンタも録画したかどうか。まあDVDでるだろうけどね。
 しかし、小学校時代に、下唇をつきだして、「まつもとせいちょー」とか絶叫して、しこたまぶん殴られたことを思い出した。今は時々自分がリアルに松本清張仕様になることがある。まあ加齢すると尿道以外はゆるむんだよね。