野毛ブランドと職人芸

 尾島精肉店イチオシのチャーシューというのを食べたら、昔の味がした。最近ガイドブックみたいなのとかアド街だとかいろいろ出ていて、デパートにも出しているし、野毛ブランドの一翼をになうようになればいいと思いつつも、やはりでかくなるとアレだよなと思っていただけに、昔の味はちょっとうれしいものがあった。坂出の肉屋さんみたいに夏しか焼かないというようなことはないが、昔は地元のために焼いていたかんじ。大きくなるとそうもいかない。それはいいけど、野毛ブランド自称するなど、活気づけて欲しい感じはある。ミシュラン☆☆☆が話題騒然だが、みてみると一生一度行けるかどうかみたいな店ばかりで、どうせなら野毛ミシュランでもつくって、野毛、それとちょーしこいていろんなところのお店を野毛的な観点から☆つけるみたいなことすればいいわけだが、ビートたけしも言っていたように「庶民は黙って食いに行って黙って帰ってくる」ということもあるわけで、野毛ミシュランとか、野毛ブランドとか言った時点で野毛的ではないのかもしれない。しかし、儲かるならそれを巧妙に「横領」するような野毛的みたいなものもあっていいんじゃないかと思うんだけどね。
 休日は横浜に帰り西スポーツセンターに行くというのが日課になっている。山越えがだんだん南側に移り、保土ヶ谷あたりまで迂回して、浅間町に向かう。片道8キロ弱約二時間の行程だ。密かな野望があって、それなりの体重になったら、山登りもしてみたいし、できれば尾瀬に行ってみたいのだ。学生時代に一度行ったことがあるが、山越えまではしなかったし、その後は神経症になって階段すらのぼれない状態が10年も続き、外国も行けずじまいになった。基本は、久保山〜清水が丘〜井土ヶ谷あたりで山越えをするのだが、気になっていたのは野毛山からの尾根づたいのルートである。いつもは下を通る霞橋を一度わたってみたいと思っていた。で、本日は一本松小学校あたりから、橋に向かい渡った。下から見るとさほどでもないが、上から見ると非常に美しい景観である。久保山の火葬場、墓地付近を通過して、保土ヶ谷に出る。斎場も墓地も、横浜の景観が一望にできる場所にあることに気がついた。

 保土ヶ谷駅の西口に出ると、なかなかのにぎわいである。東口はシャッター商店街になっている。どうしてこんなに差があるかはわからない。浅間町に向かう途中に親が勤務していた通告センターがある。交通の反則処理を電算化する仕事が親の締めくくりの仕事となった。下働きだから、名前も出ず、電算化開始の式典にも呼ばれなかったらしい。職人肌の人間だから、敵も多かっただろうし、呼ぶなということもあったんだろう。まあしかし、それはそれで一つのオトシマエだろう。『点と線』の第二夜は、アリバイ崩しのドラマだが、仕事を終えて帰路につく老刑事に、同僚のちょっとえらくなった老刑事が「警視総監賞もんだな。でも、そんなの欲しくないか、ははははは」というシーンがある。小林稔侍をみると、スケベのねんねんだとかゆう異名や、あるいはまた狂い咲きサンダーロードの軍歌打ちwを思い出して、笑ってしまうのだが、こういうセリフが似合う男みたいになってるよな。そういえば鉄道員もそうだったよな。
 でもって、そういうプロジェクトXにも登場しないような人々のドラマは、ご当地ものサスペンスワイド劇場製作スタッフへのオマージュみたいになっているわけだろ、と思ったけど、脚色で最後断崖絶壁で、悪いことやった椰子らが氏脳として、なんかたけちゃんとかが説教して、オヨヨと泣き崩れみたいにはじけてしまえやゴルァアアと思ったけどさ、さすがにそれはなかたよね。でも一応最後は海岸だしてきたいのは、それなりにこだわりがあったんだろうかねぇ。まあともかくよく見ていると、スタッフノリノリでご機嫌ドリフト走行みたいなカメラワークがあったりして、実に小気味がいい。そうでありながら、そこそこゲージツっぽくつくって、バカな評論が出てきたら、笑ってやるぜみたいなたちの悪いこと考えているのかねぇなどと思ったりした。でもって、ほころびはどう是正されたかちうようなさわぎではなく、前半トリックの提示、後半アリバイ崩しというなかで、作品全編を制御するようなモチーフがそこから引き出されていて、いろんな残像がまとめ上げられて行くみたいな仕掛けで、しかも妙な編集してないから、超わかりやすいし、面白かったッスヨ。
 auのCFはかなり笑えるわけだが、ぬくみずは相当の傑作だと思う。というか、前にはてなセリフで次のようなものをつくったからそう思うだけかもしれないんだけど、この類のものは理屈抜きに笑えるんだなぁ。